会議室として使われていた会社のフロアのリノベーションです。コロナ禍での計画で、社会状況の変換により当初は考えていなかった、新規事業を行う為のラボ機能を持たせたいという依頼でした。海外(フランス・アメリカ)在住歴の長い施主からは、風情を感じる少しクラシックなデザインをリクエストされました。
壁・天井・床の仕上材を撤去し、コンクリート打ち放しをそのまま見せる内装を提案しました。荒く古いビンテージのコンクリートと、少し入だけ入れる新しく美しい素材のからまりと対比が、より素材感を感じさせ、生命力のある空間になっています。
コストを抑える予算調整しながらも、デザイン性を確保する為に、既存の古びたカッコ良さを生かした設計をしました。
市松に天井を組んで、場所に軸(目盛り)をつくり居場所の把握が出来る事で、場所の拠りどころとなる設計としました。社会の変化が速い中で、事業も変化していく事を想定し、使い方を固定し人やモノの配置を固定するのではなく、変化し続けられる仕組みを考えました。
荒々しい既存のコンクリート・コールテン鋼のサイン・鏡面のLGS天井下地・合板など異素材の対比が、プリミティブな力強い空間をつくってくれています。
壁に掛けられているのは、パリの写真で施主が掛けています。
施主の仕事人人生の中で、これまでで一番頑張ったパリ時代を思い出し、これからまた仕事を頑張ろうという意味だそうです。このモノクロの写真が、コンクリートのグレー、市松天井のブラウン・壁と扉のブラックと共鳴して、力強さと洗練された場所がつくられています。
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