木材は日本では豊富な天然資源としてずっと使われ続け、家づくりには欠かせない素材のひとつです。家を支える構造材だけでなく、床材やドアなどの建具、家具などさまざまな用途に使います。
本記事では、特に家づくりの意匠性=見た目にかかわる“木材”の選び方について分かりやすく解説していきます。
針葉樹と広葉樹の違い
木材は木目や色など見た目の好みで選んでも問題はありませんが、基礎的な知識を少し知っているだけで特徴もつかみやすくなります。
まず、木材は細くまっすぐ伸び先の尖った葉をつける“針葉樹”と、幹が太く平べったい葉をつける“広葉樹”に大きく分けられます。
比較的単純な細胞や組織でできている針葉樹と、複雑な組織構造でできている広葉樹では、見た目の違い以外にも重さや加工のしやすさなどの違いがあります。
針葉樹は、以前は主に家を支える構造材に用いられ、広葉樹は見た目も樹種によって大きく変わり強度のあることから内装材に用いられることがほとんどでした。しかし、針葉樹は広葉樹よりも柔らかみや温かみを感じられたり、リーズナブルで取り入れたりしやすいこともあるので、内外の床材や壁材などに広く使われるようになっています。
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よく使われる木材の特徴と風合い
木材にも時代によってトレンドがあり、多種多様な樹種があります。家づくりによく用いられる木材であるパイン、スギ、ヒノキ、ヒバ、ケヤキの5種類を紹介します。
パイン
輸入材の中でも特に人気が高いのが、北米やロシア、北欧などから輸入されるパインです。以前は輸入住宅やカントリー調の家や家具に使われる明るめのイメージを持たれたパインですが、白っぽいマットな塗装をすることで落ち着いたイメージも演出できます。
リーズナブルで造作家具や建具にも流用しやすく、家全体を統一したイメージで仕上げるのに適している木材でもあります。
スギ
日本で国産材の生産量の約半分を占めるのが、スギです。やわらかく使いやすいだけでなく高温多湿な日本の気候風土に合っていることから、家づくりのさまざまなシーンで重宝されています。
柱や梁などに特性が向いているだけでなく、木目がはっきりしていて塗料を吸い込みやすく色々な色彩を楽しむこともできるので、和洋風にとらわれず外壁やフローリングに使われることも多い木材です。
ヒノキ
国産材の針葉樹の中では少しコストが高めの木材ですが、木目が美しく耐久性があり腐りにくいため、家づくり以外でも神社や仏閣など格式の必要な建物に用いられることが多いのがヒノキです。
見た目に和風なイメージで、室内空気環境の良さや素材そのものの美しさを求める方に人気のある木材です。
カラマツ
国産材の中でスギ、ヒノキに次いで3番目に多いのが、北海道や東北・長野などで生産されるカラマツです。針葉樹の中でも強度がありヒノキ同様に耐久性が高いのですが、何も加工しなければ木材が割れたり寸法が変わりやすいことが弱点でした。
近年、木材の乾燥や加工技術が進歩したことで弱点も克服され、耐久性の良さを見直されて外壁に使われるケースが増えています。年輪もはっきりしており塗料をよく吸い込んで美しく発色するので、長持ちさせたい外壁に使いたい木材です。
ケヤキ
国産材の広葉樹は、全体の生産量を合わせても国産材の約1割しかありません。そのなかでもケヤキは全国的に分布しており、古来から家具の材料としてずっと使われ続けてきました。
見た目に重厚感があり耐久性もある木材なので雰囲気もあり、一生物のダイニングテーブルや家具にとても向いています。
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木材を選ぶ時に気をつけたいこと
一口に“パイン”や“スギ”といっても産地により木目の見え方や色の具合、節(ふし)の有無で価格は異なります。床材や家具など目に見える場所に使う木材は、なるべく使う木材のサンプルを取り寄せて自分の目で実際に確認するのが良いでしょう。
また、塗装の仕方によっても仕上がり感は異なります。ウレタン塗装のような表面を覆う塗装はツヤが出やすく、水を弾いたり表面強度も高いです。しかし、表面を覆うことで木材が本来持つ自然の調湿作用などの効果はあまり期待できず、冬場には足下の寒さを感じやすくなります。
一方、オイル塗装のように木材に浸透するタイプの塗装だと木目や手ざわりなどの質感はそのままで湿度をコントロールして室内を快適にしてくれますが、表面は傷が付きやすく定期的な手入れが必要です。
木材の種類に加えて塗装方法についてもじっくり選んで、満足度の高い家づくりにしていきたいですね。
豊富な森林資源を持ちながら針葉樹も広葉樹もほとんど輸入材に頼っているのが日本の現状ですが、家づくりをする人には世界から色んな木材が入ってきて選択肢が多いという利点もあります。ところが、2021年にウッドショックと呼ばれる木材高騰が起こり、輸入木材ではなくいよいよ国産木材を利用するべきではという議論もでています。今後の動きが注目されます。
文:中山真樹子
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