ヘリンボーンの床、コンクリートの天井、メリハリのある照明計画で、ラギッドな洋服や持ち込みのアンティークアートをより魅力的に演出。
text_ Yasuko Murata photograph_ Kai Nakamura
H邸
(東京都渋谷区)
- コーディネート
- EcoDeco
- 設計
- 芦沢啓治建築設計事務所
- 住人データ
- DSKさん(40歳) 会社員
Yさん(38歳) 会社員
築30年、面積が54㎡とコンパクトなサイズの中古マンションをリノベーションした、DSKさんと奥さまのYさん。7年前に購入した70㎡の新築マンションからの住み替えを果たしたという。
雑誌などでリノベーションという言葉を頻繁に見かけるようになり、住み替えをしたいと思うようになりました。2人で住むには、そこまで広い空間は必要ないとも感じていて、サイズダウンすることに。そのぶん都心に近い物件を選び、リノベーションに予算をかけました
物件探しからエコデコに相談し、設計は作品のテイストが好みだったという建築家の芦沢啓治さんをリクエストした。
以前の家の経験から、区切られている間取りは使い勝手が悪いと感じていて、できるだけ空間を効率的に使いたいと思っていました。洋服や本、CDなど、ものが多いのですが、なかでも気に入っている洋服などを見せて収納したいと希望したんです(DSKさん)
プランは、存在感のあるオープンキッチンが中心となったワンルーム。DSKさんの希望から、スチールのオープンラックや、梁を利用したオープン棚などのアイデアが導かれた。
洋服や本が魅力的に収まる見せる収納は、空間に彩りを添えている。また、寝室はスチールの枠にポリカーボネートをはめ込んだパーティションで分けることに。目隠しをしながら、採光を遮らずに、広がりをキープしている。
壁や天井の仕上げは、コンクリートの躯体の現しが基本。壁をつくる必要があった部分は、フレキシブルボードを採用した。コンクリートの打ちっ放しのような質感を出すため、わざとビスやつなぎ目、小口を見せ、荒々しく仕上げている。床はご夫妻の強い希望により、水まわり以外は、チークのヘリンボーン張りとした。インテリア性も高いキッチンの天板はモルタルで、シンクはホーローを組み合わせた。全体的に暗めの色調でまとめ、光の明暗を効かせたシックな空間となっている。
モルタルやフレキシブルボードは、汚れてもそれが味になっていくのが魅力的だと思います。猫が引っかいても多少のキズは気になりません。住み替えに労力は必要でしたが、自分たちの要望に叶った家は満足度が全然違う。やってよかったと思っています(Yさん)
専門家プロフィール
1973年東京都生まれ。96年横浜国立大学建築学科卒業後、architecture WORKSHOP、super robotを経て現事務所設立。建築設計を軸に、インテリアデザイン、展示デザイン、家具や照明のデザインを国内外で行っている。
芦沢啓治建築設計事務所
- 住所
- 東京都文京区小石川2・17・15 1F
- TEL
- 03・5689・5597
- info@keijidesign.com
- URL
- www.keijidesign.com
Style & Decoが運営する中古マンションリノベーション支援サイト。リノベーション前の中古物件の紹介から選定、ローン、物件購入、設計パートナーの紹介までトータルにサポートする。写真は代表の谷島香奈子。
EcoDeco
- 住所
- 東京都渋谷区広尾1・15・7 アドビルディング3F
- info@style-and-deco.com
- URL
- www.ecodeco.biz
〈物件名〉H 邸〈所在地〉東京都渋谷区〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上6 階建て(1階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1983 年〈専有面積〉54.62㎡〈バルコニー面積〉6.89㎡〈専用庭〉16.77㎡〈設計〉芦沢啓治建築設計事務所〈施工〉栄建〈設計期間〉3 ヶ月〈工事期間〉2 ヶ月〈竣工〉2013 年〈総工費〉1,200 万円
※この記事はLiVES Vol.77に掲載されたものを転載しています。
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