うえだクリニック
– 待合と診察室も明るい脳神経外科 –
松原市の長尾街道は、大変に活気のある通りだ。
ひっきりなしに車が往来し、駅が近いこともあり、自転車、歩行者も多い。その通りに面して建つのが「うえだクリニック」である。
脳神経外科・内科を標榜するとおり、脳に対しての高い専門性が一番の特徴だが、設備においての特徴は、最新鋭のMRIを備えていることだ。
MRIは、磁石による強い磁波と電波を使って体の断面映像を撮影する。被ばくがなく体に優しい。進化を続ける最新鋭の医療機器である。
これらの医療機器は非常に大きく、数トンもの重さがある。搬入経路を確保するために、工事最終盤まで壁に大きな穴を残しておき、土日で一気に搬入、設置した。
搬入工事には多くの人と物が動員されるので、そのスケジュールを守るのに現場は本当に苦労をしていたが、今となっては良い思い出だ。
経験的に言えば、院長は自らに適した診察室の大きさを本当によく把握している。無用に大きい空間では動きに無駄がでてしまい、診療の質が落ちてしまいかねない。提案時にはゆったりとした空間をお勧めするのが、ミリ単位で大きさの希望を貰うこともある程だ。
緑が見えたり、自然光が入る診察室を提案したこともあるが、診療内容によっては、それらが邪魔になることもある。今回も懲りずに診察室の奥にハイサイド、最も暗くなる廊下側にトップライトを提案した。
特にトップライトは明るすぎる可能性があるので、屋根が最も分厚くなる場所を狙って設けている。ちょうど井戸から空を見上げているような形状になり、明るすぎることがない。共に院長からOKが出たのである。
受付、待合、動線はかなりゆったりとした空間を確保した特に待合は、南面のもっともよいエリアを贅沢に使い、吹抜けとしている。高い位置にある正面のルーバー越しに、また、その側面から、柔らかい光を取り込むことに注力した。
日が暮れてくるとそこから光が漏れ出す。脳神経外科だけに、人の英知が漏れ出すようにも見えないだろか。あくまでも私のイメージだが。
院長はトップライトに雨粒が当たる音をきき、外の景色を想像するという。
どれだけ文明が進歩しても、人は心の持ち方で変わる。地域の人たちに貢献したいという院長とスタッフに私が貢献したい。そう思えるクライアントと仕事をさせて貰うこと程幸せなことはない。