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記事作成・更新日: 2021年 7月12日

狭小住宅は計画的に!建てるときの注意点とメリット・デメリットを紹介

都心部などであこがれのマイホームを建てる際、ネックとなるのが土地に関係した問題です。理想としていたエリアであるかどうか、通勤や子どもの通学、買い物など、日常生活において利便性の高さもポイントとなります。

そして、一番の大きな問題は“土地の価格”であり、結果「敷地に余裕がなく建物が狭くなってしまう」といった点ではないでしょうか。「小さな家は生活に不便で住みづらい」といったイメージは、多くの方がお持ちだと思います。

ですが、狭い土地でもアイデアと工夫次第で機能性を高め、快適に過ごせる狭小住宅を建てることが可能です。住みやすい間取りとするために、さまざまな創造性を必要としますが、より良い狭小住宅とするために、建てる際の注意点について知っておきましょう。

狭小住宅を建てる際の注意点を知っておこう!

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ウッドヴィンテージデザインの狭小住宅

敷地面積が狭いので、境界のギリギリまで家を建てたいと考えてしまいますが、家を建てる際には、建築規制によってさまざまな制限を受けることを把握しておきましょう。

代表的な規制として、防火地域指定が挙げられます。市街地、商業地域、防災拠点などに指定されている地域は、木造3階建ての住宅は建てることができません。木造耐火建築物であれば、建てることが可能です。また、準防火地域では、準耐火建築物でなければ建てることができません。

この他に、建ぺい率の問題があります。敷地に対して建物の大きさが決められており、基準をオーバーすることはできません。都市計画によって決められている規制なので、敷地面積いっぱいに建物を建てることは不可とされます。

斜線制限にも注意しておきましょう。建物を建てる際「狭い土地だから、高さがあれば問題ない」と考えがちですが、隣地の建物には日当たりや風通しを確保する権利があるため、基準値を超える高さにすることはできません。

工事費用は一般的に大きな建物ほど高くなる傾向にありますが、狭小住宅はこの限りではありません。立地の環境により重機や材料の搬入、搬出、運搬に大きく手間取ることが予測されます。前面道路が狭い場合は、大型車両が入れず、小型のもので対応しなければなりません。また、車両の進入が困難な場合は手作業での運搬や工事が必要となります。

このような理由から、一般的に工事費用が高額となる傾向にあります。

屋外設備は狭い敷地の中で、建物の外に設置しなければなりません。そのため、隣家と干渉せず、メンテナンスもしやすいスペースを確保する必要があります。

家は一度建ててしまってからでは、なかなか変えることはできません。後悔のないよう、あらかじめ注意点をしっかりと把握しておきましょう。

狭小住宅にはこんなメリットが!

土地代や税金が抑えられる

都心部では、人気のあるエリアほど土地代も高額になります。ただ、生活圏内の利便性をすり合わせることで、余程のこだわりがない限り、ご自身の希望に合った土地を見つけることが可能です。

そして、土地の小ささから、土地代の費用を抑えることもできます。そのぶん、建物にかけられる予算にも余裕ができるので、快適で希望に沿った狭小住宅を建てることができるのです。

また、土地が小さいと、建築に伴う諸費用も安価で抑えられます。例えば、各種申請費用や登記費用などは土地の面積に応じて異なるため、小さければそのぶん安くなります。竣工後も、固定資産税や都市計画税といった税金は土地の面積に依存するため、安く抑えることが可能です。

デザイン性の高い住宅を建てられる

この他にも、デザイン性の高い住宅を建てることが可能です。狭小住宅は設計に工夫が必要となるので、クライアントと設計士、施工業者が綿密な打ち合わせを重ねます。

クライアントの家族構成や生活スタイル、長期的な計画などの希望を取り入れ、機能面やデザインに配慮した設計・施行を行います。おのずとデザイン性が高く機能面も充実した、快適な狭小住宅が完成する、というわけです。

このように、狭小住宅にはさまざまなメリットがあり、小さく狭いだけの住宅ではないことがわかっていただけけたのではないでしょうか。

狭小住宅にはこんなデメリットが!

狭小住宅のメリットについて紹介してきましたが、メリットばかりではありません。

綿密な設計が必要

デメリットの例を挙げると、広さがとれないぶん、生活動線をしっかりと計画する必要があります。ですが、あまりにこだわりすぎると、建築費が高額となってしまいます。家族構成や生活スタイルを反映させ、家族内でも上手くすり合わせることが必要です。

また、狭小住宅では開口部や廊下、階段の幅などが一般の住宅と比較して狭くなる傾向にあります。各所のサイズをあらかじめ把握しておかなければ、家具などを搬入する際、通らない可能性があります。設置する家具類が決まっている場合は、開口部の工事が完了する前に搬入しておいたり、設計の段階で確認したりしておくとよいでしょう。

工事費が高コストになりがち

狭い土地での工事は、建築費用が高くなる傾向にあります。必要な作業内容を確認し、予算に余裕がもてるよう、注意しておきましょう。

この他にも、自家用車を所有されている場合は、駐車スペースにも注意が必要です。狭小住宅の場合、ビルトインガレージを希望される方も多いですが、その際は、家の強度を考慮しなければなりません。住宅の1階部分がビルトインガレージのために空間ができてしまうため、建物の強度を増すためのコストがかかることも把握しておきましょう。

狭小住宅であっても、すべてのコストが安くなるわけではなく、場合によっては高額になるケースもある、ということを考慮しておきましょう。

文:ばんます(二級建築士)

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