ハウスメーカーや不動産屋で目にする、土地情報には専門用語が多く使われます。建築業者から「こちらの土地は旗竿地(はたざおち)です」と言われて、何のことだろうと疑問を抱いた経験はありませんか。
今回の記事では、旗竿地とは何なのか、そして旗竿地のメリット・デメリットと購入時の注意点を解説していきます。土地を購入する前に、不安な点は解消しておきましょう!
旗竿地(はたざおち)とは
旗竿地(はたざおち)とは、道路に接する狭い路地を入った先に、家を建てられるスペースがある形をした土地です。旗(宅地)に竿(路地)をつけたような形をしていることから、旗竿地と呼ばれます。
旗竿地は、道路(公道)に接している面が、およそ2mと狭く、それ以外の境界線は敷地に囲まれている場合が多いです。
市街地の中でも、特に住宅地によく見られる土地形状で、一見、日当たりが悪く見えるので、避ける方も多いかもしれません。
しかし、デメリットは設計の工夫で解決することもあり、一概にやめたほうがよい土地とも言い切れません。それでは旗竿地のメリットとデメリットをみていきましょう。
旗竿地のメリット・デメリット
メリット1:土地の価格が安い
旗竿地の大きなメリットは、土地の価格が安いことです。一般的に高いといわれる地域でも、取得しやすい価格である場合が多いでしょう。
土地購入の価格を抑えられれば、建物や外構にお金をかけられるという利点があります。
メリット2:外観に費用をかけなくて済む
旗竿地に家を建てる場合は、道路から人に見られにくい場所に建てることになります。そのため、南道路や角地の住宅に比べて、外観にあまり費用をかけないという手もあります。見栄えを気にせず、メンテナンスを重視して外壁材を選べます。
また、外からの見た目ではなく、部屋の間取りを重視して窓の位置を自由に決めることも可能です。
メリット3:プライベート感のある庭が作れる
外から庭が見られにくいため、庭のプライバシーを守りやすいのも旗竿地の特徴です。子どもが小さいうちは、庭で遊んでいても道路に出づらく安心感が得られます。
道路からの視線や音を気にせず、庭で自由気ままに過ごせるでしょう。
デメリット1:駐車スペースが取りづらい
旗竿地で、2台以上車を停める場合は、縦列駐車となることが多いでしょう。自家用車が2台ある方は不便を感じるかもしれません。
一方で、路地部分を駐車スペースにするため、庭を有効に活用できると感じる方もいます
デメリット2:一階に日が当たりにくい
家を建てる部分が隣の敷地に囲まれているため、旗竿地では1階に日が当たりにくいというデメリットがあります。
しかし、リビングを吹き抜けにしたり、2階にリビングのある間取りにしたりすると採光の問題は解決できます。
デメリット3:建築費用が高くなる可能性がある
工事車の重機が入れない旗竿地の場合は、人の手で運搬作業するため建築費用が高くなりがちです。庭の造成など、外構工事でも搬入費用がかかる可能性があり、注意が必要です。
また、道路から家までの距離が長いと、インフラ(上下水道やガス、電気)コストが高くなる場合があります。
旗竿地に家を建てるときの注意点
旗竿地を購入する前に、以下2点を注意しましょう。
・路地部分の幅を確認する
・土地の行く末を考える
この2点について、詳しく説明していきます。
路地部分の幅を確認する
旗竿地では、路地の幅が2m以上あるか確認しましょう。まれに、土地付きの中古住宅で格安の旗竿地が売りに出ていることがありますが、建て替えられない可能性があるので、注意が必要です。
現在の建築基準法では、道路に接している幅が2m以下の場合は建物が建てられないと定められています。法律の改正前に建てられた中古物件を購入し、道路に接する部分が2mに満たない場合、いざ建て替えようとしたら、現行の建築基準法で不適合となったというケースも起こりえます。
また、路地部分の幅が狭いと、使い勝手の面でも不便を感じるものです。2mは、乗り降りに余裕があるとは言い難い幅です。2.5mが、基本の駐車スペースの幅であるため、目安にするとよいでしょう。
土地の行く末を考えておく
旗竿地に限りませんが、土地を売るときや、住宅を解体するときのことも想定しておきたいものです。
購入価格が低い旗竿地は、土地を売却する際にも安くなる可能性があります。また、住宅を解体する際にも、重機が入れない場合は費用が高くなりがちです。
まとめ
やはり土地の価格が安いことは、旗竿地の大きなメリットです。
旗竿地は、道路からの視線を感じにくいため、庭や家のプライバシーを守れるといった魅力もあります。
一方で、広い駐車スペースは取りづらく1階に日が当たらないというデメリットがありますが、日当たりの問題は、設計次第で解決することもあります。
旗竿地で家を建てるには、間取りが重要になるため知識が豊富なプロに相談することをおすすめします。
文:島田さわ(二級建築士)