兵庫県芦屋市の山手に計画された住宅である。施主は社会的に地位のある方で交友が広く知人を招いてパーティをしばしば催される。食を趣味のひとつとしておられるが、その探求心は並々ならぬものがある。食遊館という計画名は施主の発案による。
本道から滑らかな曲線を描いた道路に沿って歩を進めるとその曲線と呼応するかのような曲面の壁を持ったこの住宅が姿を見せる。1階部分は木製の柱が規則正しく並び2階は少しラフな仕上げの石材が壁と同長さを持つ庇によって見切られ優雅なカーブを描いた曲面を形作っている。大きな木製の玄関扉を開けて内部に入ると花屏風越しに明るい日差しが目に飛び込んでくる。階段室上部からの光だけでなく沢山の観葉植物や花が置かれた光室上部から開閉可能の勾配を持ったカーテン越しの柔らかな光が隣接するスペースにまで降り注いでいる。普段は静かなお二人だけの空間が年に数回食事会の場として用いられる。日常生活空間とパーティ時用の空間は注意深く区切ることができる。普段のプライベート空間としての居間食堂は約50畳の広さを持ち、応接室、光室との開口部を開け放ったL字型空間の広さは実に100畳にもなる。通常は光室で育てられている観葉植物や花は食事会の時には各室に配置され華を添える。
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