東京の閑静な住宅地に建つ二世帯住宅で、老朽化した木造住宅の建て替えです。
建て主ご家族からは、女性が多く生活するのでセキュリティを重視しつつ明るくて風通しの良い住まいとの要望がありました。そこで外部に対しては閉じ、内部に対して開放的な中庭をふたつ設けたコートハウスにしました。
隣地側や道路側の外壁面には防犯性を考慮して必要最小限の開口部を設け、大きな開口部は外部から覗かれない中庭に面して設けて採光と通風を確保しました。
洗濯物もこの中庭に干すことで外からの視線を遮ります。さらに1階部分の開口部ガラス全てには飛散防止フィルムを貼り、中庭に面する引き違いサッシにはブラインド式の雨戸を設置して防犯性を高めました。
敷地が65坪と都心としては比較的広く、角地による建築面積の緩和も含めた建ぺい率の60%を最大限活用して出来る限りのスペースを1階に配したプランにしたため、2階には3人の子供室だけの限りなく平屋に近い2階建てとなっています。
全体の平面計画としては、Fの字型をひっくり返した1階にLの字型の2階を乗せたプランとなっています。
そのため、残りの敷地40%のほとんどはふたつの中庭と駐車スペースという外部空間で占められており、将来自家用車を手放した際には、駐車スペースを無くして中庭を拡張出来るようになっています。
親世帯と子世帯の生活スタイルが異なるので、玄関をはじめ浴室、キッチンなどの水廻り設備をそれぞれ別々に設けた分離型二世帯住宅となっており、内部での往き来が出来るようにしました。
また、家族7人分の自転車があることから自転車置き場を兼ねた広い玄関ガレージを設け、中庭1とこの玄関ガレージとがひとつの大きな外部空間となって奥行きのある広がりを持っています。
親世帯と子世帯とが中庭という外部空間を介してお互いに距離を保ちつつも気配が感じられる二世帯住宅となっています。
親世帯と子世帯とも家族団らんのスペースは屋根に合わせて勾配天井とし、垂木を現しにして空間にリズム感を持たせました。また、ハイサイドライトを設けることで日中の光が深く差し込んで風が抜けるようにしました。
2階の子供室へは、パブリックスペースであるリビング・ダイニング・キッチンを通って行くように階段を配しました。
3つの子供室は、3人がそれぞれ自分の部屋の引き戸の色と照明器具を選んでおり、個性豊かな子供室となっています。
また子世帯の住居部分では、奥様の希望で使い勝手を重視したシンプルなオールステンレスのキッチンとレトロな照明器具で空間を演出しています。
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