










敷地は近年移住者が増えている安曇野市内。水平に広がる遠方の山並みは安曇野ならではの魅力に溢れ、周囲の田んぼや果樹園に囲まれた閑静な住宅群に位置する築50年の2階建住宅のリノベーション計画である。既存建物は比較的規模が大きいことから建主の暮らしのサイズ感に合わせる意図から吹抜けを設けるなど生活の広がりを再構築している。暮らしの様々な場面ごとにワンルームの使われ方が変容できるようなおおらかさのある計画である。ご主人も趣味である木工ができるアトリエや奥さまが営むネイルサロンも併設し、仕事と生活が行き来する暮らし方に合わせたオリジナリティのある建築である。
改修方針として、大規模改修に該当しないよう屋根は内側から断熱補強し、既存の柱、梁に相性の良いラワン合板で屋根勾配なりに天井を構成している。既存の個性ある階段もその姿を残し、ワンルーム化された広間のエッジで参加しながら完全な目隠しにならないよう視線が抜ける計画である。既存改修によって新しくなる部分は白い壁による表現とし、既存の柱や梁は現しとして新旧のディテールを対比している。建主が集めた古い建具も新たな空間に差し込まれ、築51年目の古民家は古さと新しさが融合し、築100年に向けて静かに歩みを始めている。
暮らし方の選択は自由な時代になりましたが、生活の本質に向き合う時間が現代人には足りていない気がしています。家づくりを始める時は家の間取りから考え始めるのではなく、選択した地域でどのような暮らしをしたいか衣食住のバランスを整え、仕事やプライベート、子育てや個人、色々なフェーズに伴い具体的に考えることが豊かな空間の創出につながるように思います。

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