









長野県北部の新築住宅の計画。敷地は、かつて加賀と江戸をつないだ旧北国街道に面している。人やモノ、情報が行き交った元宿場町は現在でも人や車の流量が多く、まちの中心部に位置づけられる。
クライアントはすぐ近くで飲食店を営んでおり、仕事や生活、子どもの送り迎えや休日の過ごし方などこの通りで多くの時間を過ごすことからまちに参加する建築の佇まいを模索した。敷地北側に流れる鳥居川は町合併前の旧牟礼村と旧三水村の境界であった。牟礼で生まれ育ったご主人と三水で生まれ育った奥さまが、この建築を介してお互いの原風景に握手できるよう、建築の真ん中に「通り土間」のような抜けの空間を挿入した。プライバシーを意識しながら限定した1間の間口の通り土間はまちのスケールを内部に引き込んでいる。
内部空間は通り土間に面して大小様々な場所が顔を出し、家族が集まる少しパブリックな場と、個人のプライベートな場の距離感を調整している。2人の子どもが社会に接続する一歩前の少しだけパブリックで開けた場を建築内部に設けることで、暮らしと人のふるまいを近づけようと試みた。
また、神社の参道正面に位置する計画地であることから、「通り土間」が風を通し、立体的に組み上がった「塔」によって夜は通りに灯りを照らす。「塔」の内部には、朝は東面のハイサイドが差し込み、昼から夕方にかけて吹抜け内に自然光が廻る。その様は日時計のようであり、現代人の生活にリズムとエネルギーを与えてくれる。
一般的な住宅地で見られる駐車場のあり方を再考し、街道沿いの風景のあり方も提案している。この住宅では建物本体から屋根を持ち出して神社に対して軒先が相対するように計画した。通りからは軒が顔を出し、新たな風景を生み出すことと同時に、この敷地の本質を読み取ろうと意図した建主と設計者のひとつの回答である。飲食店を営む建主がお店に人を迎え入れるように、可能な限り屋根を低く下げることでお辞儀をしたような深い懐を生み出しているのはこの地の歴史・文化へのリスペクトでもある。
1.元宿場町の通りにせり出す屋根
2.自然光が降り注ぐ中間領域としての吹抜け
3.合併したまちの境界を解きほぐす視線の抜け(通り土間)
この建築では、元宿場町の街道沿いという土地の成り立ちに正面から向き合い、住まい手の日々の暮らし方をヒアリングするところから設計を始めています。ローカルでありながら交通量の多い道路側に大きな窓を設けられない中で、南北に視線の抜けや広がり感を生み出すため「通り土間」を挿入しています。通り土間には吹抜けを介して自然光が降り注ぎ、風が流れ、空間を穏やかに包み込んでくれています。寒冷地は自然豊かな環境の半面、寒さや暑さとの戦いです。この建築では予算の許す限り断熱・気密性能、耐震性能を高めています。私たちは常にその土地で普遍的な建築の設えを研究しながら、設計へ反映させています。

株式会社コプレイスアーキテクツ
株式会社三野建築構造研究所
飯島建設株式会社
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