敷地は、名古屋市の中心街にある神社の隣にあり、幹線道路からの喧噪と神社にある静けさとの潮目になる場所である。
神社のような静かな場所は都市の喧噪から切り離されてなければならないが、神社は要塞のように閉じているわけにもいかない。この問題をなんとか乗り越えることができないか、と考えた。
この住宅には3つのトンネル状のボイドがある。これらは、内と外を繋ぐ役目をし、ひとつはガレージになり、ふたつめはリビングのテラスになり、3つ目はバスコートになっている。特徴的なのは、これらが幹線道路から背面の神社の森を見通せるようになっていることだ。
また、これらの3つのトンネルは一枚のプレートの折りたたみの変化で形成されている。内部空間も一枚板の折りたたみによるアルコーブがそのまま部屋を形成している。したがって、LDK、寝室、客間は一つながりのワンルームになっている。
このような仕掛けによって、都市と神社の関係を調停したいと考えた。この住宅は、神社を都市から遮るでもなく、ただ開くでもないフィルターのような存在であり、都市の中心でありながら、神社に寄り添うように静かな場所を獲得したのではないだろうか。
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