敷地は新潟県刈羽村の農村集落に位置し、すり鉢状に山と森に囲まれ谷伝いに集落が形成されている。敷地は小さな山麓環境であり、南に小さな山が空を隠す勢いでせり立ち、深い森が形成されている。美味しい米と、多様な動物、山と森と小川など豊かな自然環境がある。水に恵まれ、冬の雪は深く、山の入り口に一家は祠を携え、旨い筍や森の幸を頂戴することができる。 敷地は不定形ながら、南に道路、北に山が位置し、幸いにも南北の視線の抜けとスペースが確保されていた。山の入り口には一家の守り神として祠が宿っている。ありのままに受け入れ、南北状に動線と視線を通すことを第一優先とし、同時に山の空気の流れも享受することが可能である。敷地には日本固有の「奥」が沈潜し、その山、森、自然に対する入門の棲家となる。 南側には1、2階それぞれに縁が設けられている。夏場の日差しを遮るために施された中間的な領域でもある。垂れ壁は斜め形状となり、室内からは高低をもって外部を切り取る。 玄関からもその先へ視線が通り、山の緑の恩恵を受ける。1Fでは玄関から順にLDK、サニタリー、デッキテラス、そして緑地の奥に祠が宿り、参道としての動線が浮かび、豊かな緑を賞玩することが可能だ。特に夏季には森の冷気を伴う新鮮空気が降り注ぎ、さながら北と南をつなぐ隧道の様相を呈している。
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