市部に住まう。敷地は新潟市の中心である。高層ビルが立ち並び、同時に新潟市の古い地域らしい低層の屋ごみを形成する。ビル風がつむじ風の軌道で敷地内を駆け巡る。敷地は鰻の寝床の形状をしており、意外と奥が深い。奥が深い敷地同士が地域を形成するため、その奥にコミュニティの空隙が存在していることを確かめられる。白と黒、天と地。図示化してもそれは一目瞭然である。つまり白と黒の同領域が集中するため、敷地の「奥」には十分な光が注ぎこまれ余白の集合体を形成されている。施主の趣味でもある土を育て耕し菜園を築くには最良の領域であった。奥には都市の中の畑を形成し、道路側に出来る限り建物を寄せている。本宅は2階建てであるが、階段が2台ある。手前の玄関から居間へと上がる階段、居間から徐々にスキップダウンし、畑へと下りて行く階段。住まいは中心であり、それを軸に道路と奥、その二方向領域へ対峙し寄り添っている。外部の領域とのかかわりを環境性能と捉え、都市の中で地域環境と折り合う住空間である。
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