閑静な住宅街に建つ夫婦と子供3人のための木造2階建ての住宅である。車が2台停められて、家のどこにいても家族の気配を感じられ、明るく楽しい住宅という要望から設計がスタートした。
敷地は第二種風致地区で、建蔽率や各境界からの壁面後退距離が定められており、必然的に建物配置が敷地の中心になった。前面道路は環状八号線と多摩提通りとを結ぶバス通りのため大型車の交通量が多いため、生活をする上で、大型車の通行音や歩行者の目線が気にならないようにする必要があると感じた。また、周囲には街灯が少ないため、建物が街をほのかに灯せる行燈のような設えができないか考えた。
まずはじめに開口のあり方を考えた。
1階レベルで道路側に開口を設けようとした場合、騒音や周囲からの視線が気になるため、道路から2.5m、メインの1FLから1.8mの高さに、四周全面にわたってハイサイドライトを設けた。これにより外からの騒音や目線をカットしながら室内に明るさと緑の豊かな周囲の景色をもたらすことができ、夜には室内の光がハイサイドライトから漏れ出し柔らかく周囲を灯している。
プランニングでは家族の気配を感じられ、コミュニケーションしやすいことを考慮し、1階の中心にリビング・ダイニング・キッチンを配して、上部を吹抜とすることで上下階をつなぐわかりやすい構成とした。それにより家にいる多くの時間を気持ちの良い空間で過ごしつつ、2階のプライベートな空間で仕事や勉強、読書をしながら1階とのつながりを持つことができる。
またフロアレベルを変えることで、1階のパブリックな空間から上部へいくにつれて、プライベートな空間へと変化させている。意識的にレベルを細かく変えることで、レベルごとに場所の特性を創っている。空間を利用する人数が多いまたは利用時間が長い空間ほど天井高さも高く設定し、あらゆる場所から視線の抜けをつくることで、奥行きや広がりをもたせ、居心地のいい場所を実現した。
東側に面するリビングは隣地側に引き出しを開けたような形状でスラブを跳ねだしてテラスを設けることで、大きな開口を設けることができ、平面的な奥行の創出と吹抜が相まって明るく開放的な空間となり、気持ちの良い朝を迎えられる。夜になると、これらのスリット状の開口からあたたかい光があふれ、街をやさしく灯し、口角があがったような柔らかい表情の外観が家族を「おかえり」と建物に迎え入れてくれる。様々な開口を持ったこの建物は内と外、朝と夜で様々な表情を見せ、家族や周囲の人を楽しませている。
・四周ぐるりと周っている1階のハイサイドライトとリビングの大きな窓から 室内に光が入り、明るい生活空間となっている。
・吹抜けを介して1・2階がつながっているので、仕事や勉強をしながら家族の気配を感じられる。
・リビングに面したテラスは、東向きなので午後は西日が入らず風通しがよく気持ちよく過ごせる。
要望としては車が2台停められて、家のどこにいても家族の気配を感じられ、明るく楽しい家にしたいというものでした。
敷地は交通量の多い道路に2方向面しているため、安全に車を2台停められるよう交差点から遠い北側と西側に分ける提案をした。
明るく楽しい家というのは、窓の設け方の工夫や吹抜け・テラスの設置や生活のゾーンごとに床のレベルを変えることで、自分の居場所を確保しながら家族の気配を感じられる工夫をした。
設計段階では模型を作って説明することが多く、確認や検討のため模型を依頼者に預けると、家族でたくさん検討されたようで、模型が壊れるほど熱心に検討されていた。
家族によって生活のスタイルや過ごし方があるので、どのような暮らしをしていくのかを依頼者とたくさんコミュニケーションを取ることで、要望を実現し、快適で暮らしやすい住宅となった。
資料請求にあたっての注意事項