熊本市川尻は嘉瀬川の河口に位置し、古くから川湊として栄えた町である。2016年の熊本地震はこの地にも多大な被害をもたらした。敷地は、旧薩摩街道沿いにあり、間口4.3m×奥行36mの所謂「うなぎの寝床」である。計画は、今回の地震により被災した「I氏」の敷地に、「I氏」、「F氏」2家族の住宅、及び「I氏」「F氏」が共同するデザインオフィスを新たに建築するものであり、「町家」の今日的な解釈を模索した。
道路の「おもて」に2階建てのオフィス、「おく」に3階建ての2世帯住宅とし、1階と2階半分を「I邸」、2階半分と3階が「F邸」である。間口に対して極端に奥行の長い敷地にあって、中庭との繋がり、吹き抜け、奥行による距離感を活かした計画により、間口の狭さを感じさせない伸びやかで、かつ多様な空間となるよう図った。
外観は、道路に面するオフィス棟を、階高等のスケール、色彩を伝統的な町家に合わせ、また敷地一杯となる住宅棟はボリューム感を軽減する等、新旧の街並みとの調和、在り様に注力した。
photo by:石井 紀久
【 第23回 くまもとアートポリス推進賞 推進賞 】
【 第13回 建築九州賞 佳作作品 】
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