これは、東京では「もんじゃ焼き」で有名な月島にある2軒長屋のリフォームのお話です。御施主さんは某S工業大学の先生。夏休みを利用して今住んでいる長屋をリフォームしたいとの依頼でした。
その長屋は関東大震災直後に建てられた2軒長屋で、御施主さんの祖父が建てたものです。その後80年近く借家として利用していたものを譲り受け、10年前から半分に、2年前からは全体に御施主さんが住んでいました。しかし、2軒長屋、階段もトイレもキッチンも2つずつ、2階は繋がっていない状態。快適な暮らしとは言えない状態でした。そこで建て替えも考えた御施主さんでしたが、周辺への配慮と古建築への愛着が勝り、リフォームして住み続けることとなりました。
コストダウンの為、工務店の協力を得て、解体、柱磨きと左官の壁塗は、御施主さんと我々と御施主さんの教え子の学生さんで手伝いました。左官については1回目で紹介した石灰プラスター(薄塗り漆喰)塗です。
解体して先ず驚いたのは、基礎の大谷石。土を掘って調べてみたらきれいな緑色、まるで生きているようでした。また、柱梁土台の木材も殆ど腐っていません。一部土台と柱の根元を取り替えて、後は構造用合板で壁と床の耐震補強をして、床の防湿コンクリートを施して完成です。
外観は周辺の景観に馴染むよう配慮し、杉下見板張りや窓格子など月島に馴染みの素材やデザインモチーフを使いつつ、ちょっとモダンな平成の長屋を目指しました。内部は2階をリビングにし中央の階段室を配置することで、小屋裏の明り取りから光が差し込み、明るく開放的な生活空間が実現出来ました。
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