実家の老朽化を機に2世帯住宅に建替え。
それぞれのプライバシーを尊重しながら、閉鎖的にならない空間構成が求められました。南北それぞれに設けたルーフバルコニーは、花火鑑賞ができたり庭を愛でたりとそれぞれの役割を担わせることでそれそれの世帯の自然な交流を促す装置としました。
■機能的なこと
・移動のバリアフリー:ホームエレベーターを空間の中央に配置。各室にはそのホールから最短距離で移動できる。
・SOHOスペースはプライベート空間とわけ、気兼ねなく仕事に集中できる環境を整えた。
・通路空間は比較的広くして車いすになっても快適に移動できるように心がけた。
■建築的なこと
敷地とアプローチの関係から3方が正面となるので、外観に統一感を持たせながら表情のあるファサードにするように心がけた。
庭に水ができるだけ回らないようにすることから2世帯がひとつ屋根の下に暮らす意思を反映させ1枚の片流れ屋根が覆うイメージとした。
●移動のバリアフリー:ホームエレベーターを空間の中央に配置。室内の暮らしがメインの両親の住まいを日当たりのよい2階にもってくることも可能になります。
●SOHOスペースはプライベート空間とわけ、気兼ねなく仕事に集中できる環境を整えました。
●家族が独立した生活をおくれる様に玄関以外のLDK、トイレ、浴室はそれぞれに設けました。
家族のプライバシーを保つために、階層で世帯を分けました。1階には出入りが頻繁になる子世帯、2階に室内の暮らしがメインの親世帯としました。
家族の数だけ家への思い入れがあります。
2世帯の思いをひとつにまとめる難しさはありましたが、なにかしらの共通点があります。それをたぐり寄せることができてよかったです。
生涯に一度の買い物となると気合いも入ります。
理想の間取りを考えることはあれも!これも!と胸が躍ると思います。
そういうこともあり、なかなか当事者同士では見えないところが出てくることも事実です。
そんなとき、私たち設計者という「外部を入れる」という決断もひとつです。
客観性、あなたのいいところは「ココ!」と他人だから言えることだってあるのです。
デザインは見た目だけの「お化粧」ではありません。「体質改善」といっても過言ではありません。
そのあたりのことを踏まえて、人生を彩る舞台として共に考えさせていただきたいなと常々思っています。