南東の方向を向いて、キレイな升目に敷地が分割され、40数年前に開発分譲された住宅地のほぼ中心に敷地はあり、施主家族がこの地に18年住んだ上での建て替え計画である。
敷地南側中央に大きなクスノキが植わり、家族と共に成長してきた。
この画一的な住宅地の中で、クスノキが大きなシンボルであり、建物は居丈高に振舞うのではなく、街の中に埋まり、クスノキの傘の下に身を潜めたいと思った。
一層目をRC造とし、少し地面に埋め、その上に一枚の地盤面を造った。
庭より少し下がった1階は地面がより目線に近く、植栽などの緑がより身近になる。クスノキは見上げる形になり、その枝葉の下に入り込む。コンクリートの表情と共に伸ばした庇がより安心感と安定性を強くしている。
二層目は木造とし、コンクリートが造り出した地盤面の上に親の棟と子供の棟を造った。地盤面の上は緑化を図り、第二の庭となる。浮いた庭の中に二つの建物がそれぞれクスノキを向いて建っている。一層目を少し埋めたことにより、クスノキとは正面から向き合うことが出来る。木造で出来た建物は将来的には無くなっても良いし、増築され繫がるかもしれない。
過渡期を迎えた住宅街のあちこちで新陳代謝が行われている。街のコンテクストと長年慣れ親しんだ土地のコンテクストをどうこれからの生活や生活の豊かさにつなげるのかを考えた。更地に無いその土地が持つ時間がそこに残せていればと思う。
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