“準住居地域”という言葉を聞いたことがありますか?
準住居地域とは、都市計画法で用途を定められた地域ですが、どのような用途なのか、そして、どのような建造物があるのでしょうか?
本記事では、準住居地域とは何か、メリットやデメリット、どのような人が住むのに向いているかを解説します。
準住居地域とは
準住居地域は、1968年に制定された都市計画法に基づいた地域の活用方法を定める13区分の1つです。都市計画法では、都市計画区域を大きく(1)住居系(2)商業系(3)工業系の3つに分けます。このうち(1)住居系の1区分が“準住居地域”となります。
建物の使用用途や大きさなどに制限を設けることで、さまざまな土地利用の混在を防ぐ目的があります。
土地の利用方法について何も定められていない場合、例えば、農地の隣に商業施設があったり、工場の隣に住宅があったりと、無計画に建築物が集まり、利便性を損なう可能性があります。
準住居地域は、名称から受けるイメージとして、“準”という字から、一見住みづらい環境なのではないかという印象を持ってしまうかもしれません。ですが実際は、住居系の地域としては最も建物の規制が緩やかであり、国道や県道などの主要幹線道路にアクセスしやすいエリアとして指定されています。
街並みの印象としては、戸建住宅やマンション、店舗、飲食店、事務所などが立ち並んでいることが多いです。マンションについては、住居専用地域ではないため、日影規制がそれほど厳しくなく、高さを必要とするマンションなども建築しやすい傾向にあります。
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準住居地域のメリット
これまで紹介してきた“準住居地域”ですが、メリットはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、日影規制が比較的厳しくない、という点が挙げられます。日影規制は、建物が周辺地域に影をつくり、日照権の確保を阻害しないために、建物の高さを制限する規制です。
準住居地域においては、日影規制が厳しくないため敷地を有効に活用でき、また、建物の形状も比較的自由度が高いといえます。ですが、周囲にも日当たりや見晴らしに干渉する建物が建つ可能性もあるということを覚えておきましょう。
大型の商業施設も建設可能な地域であることから、買い物や外食などの利便性が高いといえます。
車での生活が中心となる地域でもあることが多いので、週末などのまとめ買いも車で楽に行え、また、主要幹線道路や自動車に関連する施設があるため、車利用者にとっては生活しやすい環境であるといえます。
準住居地域のデメリット
メリットの多い準住居地域ですが、もちろん、デメリットも存在します。
戸建かマンションかなど、住環境にも依存しますが、商業施設や主要幹線道路が近いことが多いため騒々しく感じられ、静かな生活を求めている場合には不向きといえます。大きな道路や速度の速い車の往来が激しいため、子どもの通学やご自宅周辺での遊び方には注意が必要です。排気ガスなどの臭いなども気になるかもしれません。
そして、メリットでも紹介したように、日影規制が厳しくないということは、メリットでもありデメリットでもあります。ご自宅周辺に高さ制限の規制にかからない高い建物が建設されてしまう可能性も否定できません。
結果として日当たりが変わってしまい洗濯物の乾きが遅くなったり、風通しに変化が起きたり、日中でも照明の使用頻度が高くなることも予測されます。以前は日当たりや見晴らし、また、プライバシーの確保にもそれほど気遣いを必要としなかったのに、住環境がガラッと変わってしまうことも考えられるということです。
閑静で空気がきれいな住宅街のように、快適さを追求した家づくりにはやや不向きな傾向にあるといえるでしょう。
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準住居地域はこんな人にオススメ!
準住居地域で建築することができる建物として、戸建住宅やマンション、アパートなどの共同住宅のほかに、公共性の高い図書館、幼稚園、小・中・高校・大学・専修学校などの教育施設、病院、高齢者施設、宿泊施設、スポーツ関連施設、カラオケボックス、パチンコ店(10,000㎡以下)、映画館・演芸場(客席200㎡以下)、自動車教習所、営業用・自動車用倉庫、などが挙げられます。
これだけの施設が整っていれば、分譲マンションを購入したり、マイホームを建てたとしても、子どもの学業が終業するまでは、施設利用を目的とした利便性の高い生活を送ることができます。
準住居地域を指定する目的は、道路沿いに建設される自動車関連施設と住居の双方がよりよく調和できる環境を保つためでもあります。車が生活の中心となっているご家庭においては、準住居地域は住みやすい環境にあるといえます。
住居系の用途地域の中でも最も許容範囲が広い地域となっており、比較的高い建物であっても、周辺地域の日影規制にふれなければ、問題なく建築することが可能です。賃貸併用住宅や1階を車庫にした3階建ての家なども建てられる可能性が高いのです。
このように、施設を利用する頻度車の使用頻度が高い人など、ライフスタイルと環境がマッチする方におすすめの地域であるといえます。
文:ばんます(二級建築士)
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