自由が丘にほど近い住宅地に建つ、店舗併用の二世帯住宅です。敷地は奥行きの長い形状をしており、店舗と親子2世帯のそれぞれに適切な住環境をつくることが課題となりました。また、元々の住まいが寒暖差の激しい古い家屋であった為、寒暖差が少ない快適な温熱環境とすることが求められました。
こうした課題に対し、平面計画は中庭形式として、敷地奥側の居室に対して中庭(コート)から採光通風が得られるようにしました。このコートを中心として親子2世帯が緩やかにつながり、細長い空間を巡るに従って個別に設えられた空間の様々なシーンが展開してゆくような計画としています。コートを介して緩やかにつながった各空間の境界にはアーチ状の開口部を設け、領域を暗示し意識を切り替える結節点となるようにしています。また各所に出窓を設けて内部の表情を外部に表出しつつ、時に窓辺でくつろげるようにし、内部と外部、家族間のコミュニケーションが生まれるような場所をつくりだしています。こうした空間的な仕掛けにより、住空間を通じて緩やかな距離感を保ちつつコミュニケーションが取れるような住宅となることを意図しました。
また温熱環境ではHEAT20G2グレードの高気密高断熱仕様とすることで、住宅全体に極端な寒暖差が生じないようにしています。開口部には北米エリア発祥の樹脂サッシを採用し、特徴的な格子窓を意匠上のアクセントとしています。仕上材には天然木やしっくい材を多用し、ナチュラルな雰囲気をつくると同時にシックハウスに配慮したクリーンな室内環境をつくるようにしています。
総じて、シンプルな意匠とエコ仕様のバランスを取りつつ内外部に対して緩やかに開かれ、住まい手や街に対して優しい環境を提供できるような都市住宅となることを目指しました。
詳しくは https://www.k-h-arch.com/okusawa
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