神奈川県小田原市に建設したバウビオロギー住宅
1,コンセプト
天体の運行に合わせて、太陽と月の光がいっぱいに入る窓の配置を意識しました。1年12か月365日は太陽と月の周期をもとに決められていることはご存じのことと思います。1日はお日様の1日の周期なので「日」を使い、1か月は月の満ち欠けする期間から「月」の漢字が使われています。1年の計は元旦にありということわざがあるように太陽暦では1月1日が1年のスタートですが、太陽の年周期から考えると日の出から日の入りまでの時間が最も短い「冬至」が1年のスタートです。この住宅は、小田原の海から昇る「冬至」の日の出の「光」が家の一番奥にある神棚を照らし、寝室と浴室に満月の光が入るように計画しました。1年のスタートを感じる、ひと月の変わり目を感じる、1日の時の流れを感じるよう設計した家です。
2,バウビオロギー25の指針
バウビオロギーは40年前にドイツで発祥した学問です。1980年提起された「25の指針」は40年経っても今なお住宅づくりの羅針盤とえいます。
この住宅はバウビオロギー25の指針を一つ一つ確認しながら建築工法・内外仕上げ材料・空間の造形・電気配線などを決定しています。仕上がってしまうと目に見えない部分までとことんこだわった住宅です。
3,間取り
和室を西南に設け、落ち着いた空間に配置。全室南に面した明るい住環境です。
動線は回遊動線にして動きやすく、視界を遮らず、居室空間の熱効率が循環するようにしました。
居室空間と水まわり(雑多になりがちなキッチン、ユーティリティー、収納スペース)はハレとケを意識して区切りました。
デッドスペースを極力なくし、開放的でありながらプライベートゾーンも確保しました。
玄関部分と居室空間の間に風除室的な役割をもつ空間を配置し、玄関と居室空間をひとつの扉で仕切っております。
このため、玄関部分での冷気や暖気を遮断し、室内空間はエアコン一つで空調を整えられるように熱効率や空間全体の温度差が出ないように計算しています。
外からのエネルギーをここで一度、整えて居室空間に入れるようにも配慮しています。
4,仕上げ
材木:天竜T.S.ドライシステム
月齢伐採天然葉枯乾燥木材
壁:珪藻漆喰
天井:珪藻漆喰、和紙
屋根:フラット瓦
外壁:杉赤身板張り、ウッドロングエコ塗り
天空の動き、特に太陽と月の動きを感じながら生活したいという施主の要望を受け、小田原にある江の浦測候所を見学して「冬至の日の出が神棚を照らす遺影」というコンセプトを発想しました。
浴室と寝室から月を眺めることができ、南東の大きな窓からは日々変化する太陽の動きを影で感じることができます。もちろん日射取得と日射遮蔽を考えながら造形デザインしています。
有限会社植竹建設
株式会社阿部建業
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