敷地は吉野川の上流。三好市池田にある。
徳島市内から車で向かうと徐々に川幅は狭まり、
南北を山脈に挟まれた自然豊かな土地になっていく。
山の中腹に位置する高台の敷地からは前方を遮るものがなく
穏やかでゆっくりとした風景を眺めることができる。
内部は壁の白を基調に杉の木枠、杉のフローリング、天井はシナ合板、
家具はシナとラワンを使い、天板や小口はタモとしている。
コストを抑えつつ雰囲気を保つためキッチン背面収納や
ダイニングセットは無印良品のオーク材でそろえている。
全体的な素材は安価なものを用いているので
カーテンはミナペルホネンや麻織の布を、取っ手はタモや真鍮など
全体の質感をあげてくれるものを取り入れながら雰囲気をつくっている。
この家でクライアントが暮らしていくにあたりのんびりとした時間を
過ごせるよう納まりは素直であることを優先し、緊張感が出ないよう配慮している。
内部への配慮もそうだが家の建つ環境に素直にできているかがなにより重要である。
美しい景色をそのまま取り込むだけでこの家は成り立つ。
そんなことを考えながらこの小さな平屋の家ができあがった気がする。