敷地は前面道路から2.3mほどの高台であり、閑静な住宅地に位置する。30坪の敷地における住宅の場合、建物の大きさと敷地の割合から敷地の残余部分が環境的に好ましくない状態に成りやすい。しかし、その割合を好転的に見れば、建物と残余部分という建物と敷地の関係に積極性を与えることができると考えた。
敷地が30坪の高台のため、車庫や住宅へのアプローチを地下に配置し、1階をLDK、2階を寝室・水回りとして縦に機能を積層・分節している。地下の形成と高台の土留めに必要なRCの擁壁をそのまま地表レベルの隣地境界壁としてH1380mmまで延長し、宙に浮いた2階のヴォリュームと共に地表レベルを挟み込むことで30坪の敷地全体を半中庭的な空間として成立させている。
1階と地下はガラスとサッシュのみで内部化され、本来あるべき外壁がここには存在しない。隣地境界壁とガラスがその機能を分担しながら配置されているのみである。
地下の空間はそのまま地表レベルにスロープで連続し、内部・外部とも回遊性・隣接性を保ちながら上方へと連続する。寄棟の2階のヴォリュームは住宅(建物)としての形状を表出すると共に隣地から1m〜2.4mセットバックすることで下階への通風と光を与え、周辺への配慮を行っている。1階の地表レベル+500mmにグレーチングのテラスが境界壁際まで張られ、30坪全てをLDKと連続する住空間として有効化すると共に、建築と敷地の平面的な関係に加えて断面的な関係を与えることで敷地と建物の積極的な関係をより強めている。
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