建坪6.7 坪の敷地に建つ鉄骨造3階建て。
スキップフロアで立体的に空間を生み出し、
猫も自由に走り回る楽しい家をつくる。
text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue
1.8M幅の家(東京都)
- 設計
- YUUA建築設計事務所
- 住人データ
- 夫(39歳) 会社員、 妻(37歳) 会社員
こはだ(4歳)、めかぶ(3歳)
両手を伸ばせば届きそうなほど、間口がコンパクトな鉄骨造の3階建て。床がスキップしながら宙に浮くように配置され、所々にあるスリットからの採光が、奥行きのある空間に明るさをもたらしている。
全体がワンルームのように立体的につながる空間は、家自体が大きなキャットタワーのような雰囲気。この家で暮らす2匹の猫は、段差や階段を行き来し、縦横無尽に走り回ったり、隙間を見つけて隠れたり、楽しそうに暮らしている様子だ。
「敷地が小さいので、壁で仕切るより段差で仕切るイメージでした。立体的で段差があったほうが、楽しそうだなと感じていましたね。猫のためにつくったという意識はないのですが、気がつくと本棚の本の裏など想像もしないようなところにもぐり込んでいます。猫にとっては居場所がたくさんある家のようです」
そう話すのはこの家に住むOさんご夫妻。都心に近く、利便性が高い立地に惹かれ、建坪6・7坪の敷地を選び、新築で一戸建てを建てた。
玄関から階段を上がった1階には、壁側にデスクを配したPCコーナーがあり、奥の螺旋階段へと続く。一段上がった道路側には主寝室がある。螺旋階段でアクセスする2階はLDK。真ん中にダイニングテーブルと一体となったキッチンカウンターが連なり、道路側へと3層にスキップしながら、高さを調整している。3階は水まわりとテラス。テラスと同じ床レベルのロフトは、LDKからはしごで登る。
設計を担当したYUUA建築設計事務所の相原まどかさんは、
「キッチンを真ん中にすることで通路を2本つくり、両側から作業ができるようにしました。猫にとっては回遊動線になります」
床や天井はラフな足場板。宙に浮く床を表現するため、表情のある素材を選んでいる。印象的なチョコレート色の壁は、ポーターズペイント。Oさんご夫妻がDIYで塗装した。
「猫がいるから壁が白だと汚れが気になるかと考えて、濃い色を選びました。今後も剥がれたりしたら、自分で塗り直すことができるので、塗装を経験してよかったです」
そう話すご主人は、住み始めてからもDIYを続け、LDKからロフトへ続く壁に、棚にもなるキャットウォークを設置した。上下運動を伴う動線の出現は、猫たちにとって嬉しいご褒美となっている。
専門家プロフィール
相原まどか
一級建築士。宅地建物取引主任者。
1977年 千葉県生まれ。
2000年 東京大学工学部都市工学科卒業。
02年 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻修士課程修了。
松田平田設計、駒田建築設計事務所を経て、
08年 YUUA 建築設計事務所設立。
山崎敏幸
一級建築士。1969年 長野県生まれ。
1992年 早稲田大学理工学部建築学科卒業。
1992年 松田平田設計勤務。
YUUA建築設計事務所
- 住所
- 東京都杉並区高円寺北4・45・10
- TEL
- 03・6383・0505
- FAX
- 03・6383・0707
- info@yuua.jp
- URL
- http://yuua.jp
※この記事はLiVES Vol.74に掲載されたものを転載しています。
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