■改修前の状況
明治12年(1879)築の民家では、広い玄関土間・天井吹抜の寒い板間・二間続きの座敷・成人した子供部屋など、主な部分は有効に活用されず、二世代のご夫婦は周辺や附属屋で慎ましやかにお住まいでした。床にはこまごまとした段差が多く、その床は湿気とシロアリとで激しく痛んでいました。
■改修の方針
・空間の有効活用
・住宅設備の一新
・バリヤフリー化
・防寒対策
・腐朽材の交換と構造補強
■改修の具体的な詳細
住まいを南北二つのゾーンに分け、各ゾーンでは床の高さを整理して揃えます。
南面する旧玄関には床を張り、2階の子供室を撤去して一部吹抜とし、天井の低さを軽減すると共に陽光が振り注ぐ明るいリビングダイニングとしました。
北側に隣接する従前の床高さの和室とは、床座-椅子座の床高の差として、互いの視線の高さが揃います。デザインし直した間仕切りの紙障子は、視線の高さで横一列を透明ガラスとし、視線の行き来を暗示しています。
豪壮な小屋組みが露出する旧板間は、趣きある玄関として再生を図りました。長い年月屋根の上で住まいを守ってきました鶴の鬼瓦を、間接照明に浮かび上がるように飾ってみました。リビングダイニングへ通ずる紙障子には所々に色和紙を配し、禁欲的な闇の空間にほのかな色気を添えています。
こちらもご覧ください。
民家再生.com > 小浜の民家再生
http://minka-saisei.com/works/obama-m/obama-m.html
木村哲矢建築計画事務所 > 小浜の民家再生
http://tetsuyakimura.jp/works/obama-m/obama-m.html
撮影 中村大輔, 木村哲矢建築計画事務所
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