歌川広重が東海道五十三次で描いた鳴海宿内にある相原町での寿司屋の新築です。
相原町は旧宿場町時代の町屋が次々とお店をたたんでいき、アパートや月極駐車場に建替えられ現代化が進行しています。この町で新しいお店ができるのは20年以上ぶりのこと。
現代化によって地縁関係や宿場町の町並みといった町の個性は失われ、均質化していく。未来の町の風景を想像すると、寂しくも感じました。
止まらないであろう更新の中で、新しくつくられるお店のあるべき姿を考え、
古さ(町の歴史をつなぐこと)と新しさ(現代化)の二つを象徴するような建物が作れないかと考えました。
必要面積と斜線制限からまとめた総2階建ての箱型の外形に、古い町並みのディテールをサンプリング(過去の一部を流用し、再構築して新しいものをつくる技法)し、付加していく。
具体的には、延焼ライン緩和のための防火袖壁と玄関部分の平入りの下屋といった周辺町屋の形状や、板張り外壁と木建具などのディテール、平入り町屋の妻面がつくる切妻形状に加え、建物沿いに残る石積みの水路などをサンプリングしている。石積みについては、基礎掘削時に発掘された埋め立てられていた水路の石積みを建築の足もとに再利用しています。
人目を引くような白い抽象的な箱型の外観だが、周辺の古い町並みと連続するような佇まいもある、古さと新しさの両方に接続する建築を目指しました。
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