閑静な住宅街にある行き止まりの道路に面しています。
接道は北側道路で、間口の大きい南側に庭を持つ、絵に描いたような開放的な敷地です。
でも問題は、隣地の南側駐車場で不特定多数の人の出入りがあること、そして将来同じ規模の住宅が駐車場に建つ可能性があることでした。
建物を北側に寄せ、南の庭との間に吹抜けの緩衝帯を挿入して、南側駐車場からの視線を和らげつつ、開放的な住宅を提案しました。
建物の南側に設けた大きな吹抜けは、外からの視線の緩衝帯であり、外気との緩衝帯でもあり、光の緩衝帯であり、外からの音の緩衝帯でもあります。
この住宅の敷地の持っている複数のネガティブな要素を、一つの緩衝帯で一気に解決しようというものです。
設計担当:納谷学、島田明生子、松下有為
構造設計:長坂設計校舎 長坂健太郎
施工会社:大野ハウジング 大野輝明
構 造:在来木造2階建て
敷地面積:155.40㎡(47.01坪)
延床面積:113.65㎡(34.38坪)
1階床面積:69.97㎡(21.17坪)
2階床面積:58.59㎡(17.72坪)
①土間
1階アトリエと住宅を結ぶサンルームの土間は、この家全体の熱環境をコントロールしています。
②大きなガラス窓
1階の庭に面して長くて大きいガラス窓を設けました。北側の道路からも駐車スペースを介して庭が見え、駐車スペースも明るくしました。
③サンルーム
全ての部屋が、このサンルームを介して外と間接的に繋がっています。外からのプライバシシーを守り、全ての部屋を明るく柔らかい光で包みます。
南に間口が広い住宅地の一画でしたが、その南の隣地は駐車場でした。近い将来隣地に建物が建っても、住環境のプライバシーが守られ、暗くならないようにサンルームでコントロールできるように提案しました。
地元の大工さんは、クライアントと仲が良く文字通り三者で話し合いながら計画を円滑に進めることができました。いつも現場に笑い声があったのを覚えています。
住宅は買うものではなく、一緒に造るものです。
クライアント、工務店、設計事務所、それぞれ立場は違いますが、お互いがお互いに敬意を持って接することで、理想の魅力的な住宅ができると思います。
料理も同じだと思います。
いくら素材が良くてもその素材を生かす料理人がいなくてはなりません。
そして、その味がわかる食する人がいないと意味を持たないと思います。
島田明生子(元スタッフ)
松下有為(元スタッフ)
長坂設計校舎 長坂健太郎
大野ハウジング 大野輝明