ペッタンコハウス1は長野県松本市に位置する夫婦と子供のための住宅。敷地は西側と北側が道路、南側が川であり三方に開かれている。建主は江戸指物師4代目の工芸家であり将来的には制作した家具等のギャラリーにもなるように計画。地元のカラマツ材を使い、床面積を確保しながらもローコストであることが求められたため、建物の高さを抑えることとシンプルな形状を心掛けた(1F床を土台より下げ、更に最も長い材を必要とする棟の部分の通し柱においても土台上端から梁下端までを4mとすることで、一般的な流通無垢材1本でつくることができる。つまり平屋のような建て方でありローコストに繋がる)。
平面計画は短手四間長手六間。長手方向に水勾配をとる切妻屋根で、中央の高くなった部分に2階を持つ。玄関は妻入りではあるが、ギャラリーとして使う際には南からの平入りも可能。川が流れる南から北に向ってパブリックからプライベートへとゾーンが移り変わる。屋根に設けたドーマーからは光が降り注ぎ、風が抜ける。また1階の薪ストーブは南北の吹き抜けや個室の欄間、2階床のルーバー等によって建物全体の熱環境を整える。
*『ペッタンコハウス』は建主の娘さん(5歳)が命名
田辺さんとの家づくりは、こちらからのリクエストを簡潔にまとめて依頼することから始まりました。田辺さんはその箇条書きのリストからさらに行間を汲み取って、期待以上の提案をまとめてくれました。施主本人が気付いていない潜在的な要望を、建築家として、あるいはクリエイティブな作業の中でまとめあげ、住まいの形として実現していくプロセスは、振り返っても楽しく幸福な時間だったと感じます。
予算の中で一連の工事が完結したことは工務店さんの努力と同様に設計の手腕。また、施主が独りよがりになりがちなところを経験者の目線で修正し、完成度を高めていくことも住宅の設計については重要な作業だと思いますが、それらを和やかな雰囲気の中で進めてくださったことに感謝しています。
構造設計:ロウファットストラクチュア
ランドスケープ:hondaGREEN
施工:武井組
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