ペッタンコハウス2は長野県茅野市、標高1,160mに位置する夫婦と子供のための住宅。もともと畑だった敷地は南北に細長く、少し高い南側がメインの接道で東側は隣地が1〜2mほど高く、その向こうには八ヶ岳の山々がそびえる。水下にあたる西側は茅野の市街地に向かって雄大な景色が広がっている。建主は植栽家・ランドスケープデザイナーで、庭と建物の連続性をテーマにこれまでにさまざまな建築家との協働も行ってきた。鎌倉からのIターンであり、自らの庭をつくれることと、この景色に惹かれて移住を決意した。今回の建物は『2』とあるように、長野県松本市に設計したペッタンコハウスをベースとしている。ペッタンコハウスは地元のカラマツ材で構造材、外壁材、床材、副資材を賄い、更に規格の長さの4mから建物高さや登り梁の接合箇所等を決定したので『木取りを知るフォルム(つまりペッタンコ)』と呼ぶようになった。今回の計画では庭と建物の配置関係が重要であり、敷地での地縄張りや模型を用いながら検討を重ね、最終的にはやや窪んでいる敷地の北側を庭、南側を建物とすることにした。すると必然的に建物の北側に居間を配することとなり、そこへも光を届けられるドーマーと、厳しい寒さに対する外壁面積の少なさで他のスタディー案より優れていたペッタンコハウスをベースに設計を進めた。その際、汎用性の高さとローコストを実現したペッタンコハウスの建築的な特徴を守るために5つの原則を設けた。1.平面計画は4間×6間。2.長手の中央を棟とする切妻屋根。3.屋根には大きなドーマー。4.長手の中央2間を2階とする。5.ペッタンコであること。そして敷地条件と建主の要望から大きく変更した点は、雨除けのある作業スペースと居間から続く半屋外空間(ウッドデッキ)を設えるために南北に軒を2間ずつ伸ばしたことと、庭から道路側への直線的な繋がりをつくるために玄関を妻入りから平入としたことである。
シリーズ化するということ ペッタンコハウスを設計した際に、地産地消、木取り、プランの汎用性(将来への余白)の高さ、ローコストなどからシリーズ化が頭を過ぎった。更に仕様や納まりの改良、建主・施工者との認識の擦り合わせやすさは、シリーズ化の大きなメリットでもある。
田辺さんとの家づくりは、松本市のペッタンコハウスをベースに、間取りや仕様をアレンジして設計していただきました。寒冷地の厳しい環境でも年間を通して快適に過ごすことができ、とても満足しています。また、田辺さんが描く建築には芸術的な美しさがあると思います。良い緊張感を持たせながらも風景の中にうまく溶け込ませ、美しい空間を創造するセンスは素晴らしいと思います。
構造設計:ロウファットストラクチュア
ランドスケープ:hondaGREEN
施工:牛山工務店
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