庭に設けた7.91㎡の小さなハナレである。ワークスペース、子供の遊び場としてご家族に必要となった居場所。かつて盛土造成で地面下に埋められた空間が、時を経て隆起し、地面から生えてきたかのような土っぽさをまとう建築にしようと考えた。大掛かりな基礎補強を避けるために、土を掘り、その荷重よりも軽い建築を乗せ、高さも低く抑えることで周囲への影響も最小限とする計画とした。当初様々な形態を検討していたが、最終的に母屋の既存配管、壁面後退、職人の施工可能範囲、既存樹木への配慮、申請が不要の10㎡以下、という様々な条件から自然と炙りだされた5角形のフットプリントとなった。「土を掘る」という作業は重機の通るスペースがなく想像以上に困難であった。そのため、レッカーでシャベルを吊って入れ、庭に置けるサイズの箱に残土を入れ、一杯になると樹木やフェンスを傷つけないよう吊り出す事を何度も何度も繰り返して1m以上の穴を掘り、一部が地中に埋まる半地下の建築となった。母屋にとってもこのハナレがあることで、周囲からの目線をカットし、和室からはハナレの壁が床の間のような展示空間となるよう計画、庭へ降りる既存のタイルステップは、ハナレへのアプローチの役割も担うようにした。また北側の緑を借景として取り込み、天窓からは空が見えるように。「そと」である庭に、ハナレという「なか」を作り、その「なか」にさらに「そと」が挿入されることで、母屋とは違う、小さいながらも気分が変わり、自然も感じられる場を目指した。
母屋とは完全分離された秘密基地のような居場所
左官仕上げの内装
テラゾ仕上げの床
お子様の居場所を増やす必要がありました。背の高い建物にしてしまうと圧迫感が出てしまうので、造成した時の盛土を掘って半分埋まった半地下のハナレとしました。母屋からは電源も地中から引っ張ってエアコンも設置し、快適に過ごせるようにしています。
母屋があり土を掘る重機が入れないため、レッカーで吊って庭に入れました。
残土も庭から毎回重機で外部へ運び出して、小さな居場所ですが施工の手間はかかりました。前職時に母屋を、独立後にハナレも設計させていただき感謝です。
家づくりは会社よりも「誰とつくるか」が大切だと思っています。
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