この住宅は夫婦2人、子供3人の計5人の家族が住むために、子育てが始まるタイミングでハウスメーカーによって建てられた。
日本の住宅の寿命は約30年と言われることがあるが、ちょうど建てられてから30年が経過した。子育てが終わった今は、夫婦2人が住んでいる。1階にリビングダイニング、キッチン、洗面脱衣室、浴室、和室があり、2階には4つの個室がある。
築30年を迎え、キッチン、浴室、トイレなどの設備の古さが目立ち始めた。また昔の水準の低い断熱性能であるため、暑さや寒さがより気になるようになった。そのほかにも30年住んでいる中で「もっとこうであったらよかったのに」といった小さな願望が蓄積していた。
このプロジェクトでは、それらの課題を低コストで解決することを目指した。
平面計画におけるポイントは、北側に独立した部屋として設けられていたキッチンをリビングダイニングに移動し、より家族の団欒の中心にキッチンを設けたこと、周辺の建物の立ち方を考慮し、リビングダイニングの窓を視界の広がる方向に大きく設け、暗いリビングダイニングを明るくしたことである。リビングダイニングはサッシの交換や内窓の設置、床暖房の設置等により温熱環境を改善した。
工事におけるポイントは、電気や水道、ガスに関わる工事は業者に発注し、仕上げの一部をDIYで仕上げたことである。ネットショップやホームセンターで建築資材を購入し、YouTubeを見ながら、フロア貼り、カーペットタイル貼り、クロス貼り、タイル貼り、塗り壁、照明とカーテンの設置、棚とTVボードの製作などを行なった。
昭和後期、平成初期に当時子育てを控えた世帯に対して大量に建設された住宅は、時間が経過し、状況が変わり、現在は様々な課題を抱えていることが多い。建設費が高騰している今日において、より現実的な解決策を見出すことができたと考えている。
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