レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)には、原則、木造建築物をつくることができない。そこで古典的な木造茶室の造作を、鉄筋コンクリート造に置き換えながら茶室をつくることとなった。
通例では土で塗り込まれる壁も、コンクリート表面を高圧洗浄で洗い出してザラっとした肌理を表現し、同様に竹でつくられる小舞は鉄筋へと読み替えている。また戸や木枠もあえて南洋材のアガチスを用いてモダンな印象でまとめた。にじり口などには古典的なセオリーを踏襲する一方で、仕上げに現代的な材料を用いて、数寄ものの茶室を成立させた。
月の字を記した掛け軸が床の間に見事に映える。床柱には古家の材料を転用して、土地のストーリーを封じ込めた。
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