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記事作成・更新日: 2021年 7月20日

RC造って何?どんなメリット・デメリットがある?木造より高いのはなぜ?

RC造と聞いて思いつくのは、コンクリート打ちっぱなしのイメージではないでしょうか。

RC造とは、鉄筋コンクリートで造られた建物を示しますが、コンクリート打ちっぱなしの建物のことをRC造と呼ぶわけではありません。

それでは、どのような建物がRC造なのか、RC造以外にはどのような構造の建物が存在するのか、RC造のメリット・デメリットなどについて解説します。

RC造とは

一般的にRC造といわれる建物は、鉄筋コンクリート造りのことで建物の主要な構造部、すなわち柱や梁、床等が鉄筋コンクリートで造られているものを示します。

例えば、壁の一部にコンクリート打ちっぱなしがあったとしても、主要な構造部が木造である場合は、RC造ではなく木造となります。

建物が鉄筋コンクリートで造られることで、木造や鉄骨造に比べ、耐震性や耐火性等の建物の耐久性にかかる強度的な性能を高くすることができます。

建築基準法では、火事になった場合にその建物から避難するまでの時間を考慮した、構造部への耐火性能の規定があります。

具体的には、不特定多数が集まり火災時に避難が必要とされる建物については、耐火性能を高く設定されるよう規定があり、火災発生から全員が避難されるまでの時間、建物の柱、梁、床等の主要な構造部が簡単に燃えて崩れないようにするよう規定されています。

RC造の場合は、木造や鉄骨に比べ耐火性能を容易に確保することが可能です。

そのため、国の重要施設である庁舎や病院、有事の避難施設については、地震や津波がきても建物が崩壊しないことが重要であるため、鉄筋コンクリートで造られていることがほとんどです。


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RC造のメリット、デメリットについて

耐震性や耐火性が高いRC造のメリット、デメリットについて解説します。

先に触れたように、国の重要施設でも採用されるほど耐震性や耐火性に優れているRC造ですが、その分、コストに跳ね返ってくることになります。

住宅用途であれば、有事の際はすぐに外に避難することができるので、耐火性の観点ではRC造で造る必要性は低くなります。

それでも住宅をRC造でつくるメリットは、遮音性、意匠性、耐久性にあります。

遮音性

建物内での音を外に出したくない場合や、建物の外の音を内部に入れたくない場合については、木造や鉄骨造に比べ、RC造は容易に遮音性の高い建物にすることが可能となります。

意匠性

無機質な鉄筋コンクリート造りのインテリアにしたい、外観を継ぎ目のない大きな美しい壁面で構成したい場合は、木造や鉄骨造よりはRC造の方が造りやすいのは言うまでもありません。

ただし、一部分だけのコンクリート打ちっぱなしであれば、木造や鉄骨造でも可能です。

耐久性

税法で定められる法定耐用年数では、RC造47年、鉄骨造19年~34年(鉄骨の厚さによる)、木造22年と定められています。

これは実際の耐用年数とは異なりますが、減価償却での考え方となりますので資産という意味合いではひとつの目安となります。

実際には、定期的なメンテナンスをすれば木造であっても50年以上使用できる建物とすることも可能です。

また、RC造の場合は、定期的なメンテナンスをすることで200年以上持たせることも可能です。

RC造と木造と鉄骨造を簡単に比較すると下記の表となります。

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SRC造とはどう異なるのか

RC造によく似た建物の構造に“SRC造”とよばれる構造があります。見た目はRC造と変わりません。

SRC造とは、建物の主要な構造部である柱や梁に、鉄骨鉄筋コンクリート造を採用されているものになります。

具体的には、RC造の柱や梁の中に、鉄骨柱や梁が埋め込まれているものを示します。

では、どのような時にRC造ではなくSRC造とするか? それは、大空間を作りたいときです。

例えば、耐火性も要求され、大空間も求められる大規模な建物用途の事務所ビルや体育館、消防署などに採用されます。

実は、大空間に最も適した構造は鉄骨造ですが、鉄骨造は耐火性を確保しにくく、耐火性と大空間の両方を満足してつくるのに適しているのはSRC造となります。

RC造の建築事例紹介

それでは最後にRC造の事例を2つ紹介いたします。

ST.house

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インテリアにコンクリート打ちっぱなしの意匠を全面的に採用し、道路側の視線や音をコンクリートでうまく制御した建物となります。

外断熱工法、LOWーEガラスを採用することで、断熱性能を確保したままでコンクリート打ちっぱなしと大開口の意匠が実現し、プライバシーと開放性をRC造を採用することで、うまく両立した住居となります。

植物と暮らす家

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外部に対して、コンクリート打ちっぱなしの堅牢なデザインとし、内部はコンクリートに囲まれた庭とリビングが一体的に利用できる大開口で繋がっています。

外部に対してはプライバシーに配慮し閉じたデザインで、庭の植物とリビングは一体的に利用できる作りになっています。

植物の背景も、周りの街の風景とは切り離し、RCと石の無機質なもので囲い、あとは空が見えるだけの演出とすることで、より植物が際立って見えます。

まとめ

RC造は、コスト的に木造や鉄骨造に比べ高くなりがちですが、耐火性や耐震性、遮音性、意匠性に優れた構造です。

事例建物のように、外部の空間をうまく取り入れ、建物の面積をうまく抑制することで総コストを下げて建設することも可能です。

RC造の特性を活かして計画することが重要で、単にコンクリート打ちっぱなしの意匠がよいのであれば、あえてコストをかけてRC造にする必要はなく、木造や鉄骨造で実現することも可能となります。


文:onearchi(一級建築士)



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