三和土の玄関や古家具、古建具などの昔ながらのしつらえに、剥き出しのコンクリート。懐かしくて新しい和の住まいを都心マンションで実現。
text_ Naoko Takahashi photograph_ Takuya Furusue
下町美術室(愛知県名古屋市)
- 設計・施工
- エイトデザイン
- 住人データ
-
悠吉さん( 28歳)会社員
祥子さん(29歳)イラストレーター
陽当たりのいい縁側、板張りの床…。落ち着いた佇まいの古い日本家屋が大好きという櫻井さんご夫妻は、家を持つなら古民家風と決めていた。
そのため、平屋の一戸建てか、中古マンションのリノベーションかを考えていたという。
駅に近く、周囲にカフェなどのお店も多くて、日々の生活を楽しめそうな都心近くの中古マンションを見つけました。
東西南北の4面に窓があり、マンションでありながら平屋の日本家屋のような間取りが可能だったことも決め手になって、このマンションをリノベーションすることにしました。(悠吉さん)
設計を手掛けたのはエイトデザイン。
雑誌やインターネットなどから気に入ったデザインの写真を集めて資料をつくり、自分たちが思い描くイメージを伝えた。
お二人は、古民家や古民家カフェのようなイメージを希望していたので、幼かった頃を思い出すような懐かしさのある空間づくりを目指しました。(エイトデザイン・伊藤太一さん)
ドアを開けると、昔の日本家屋の土間を連想させる洗い出し風の玄関が現れる。その横には祥子さんのアトリエ。アトリエの床はラーチ合板を市松貼りにして、学校の古い美術室のような雰囲気を狙った。
ベッドルームとLDKはカーブした壁で間仕切り、並べて配置。また、
どうしても縁側が欲しかったんです。(祥子さん)
というリクエストに応え、リビングのバルコニーに面した掃き出し窓の手前に古建具を付けて、縁側を模したスペースを確保した。
窓の木製サッシやドアはすべて櫻井さんご夫妻がネットで探した昭和期の古建具で、現代的なマンションのイメージを取り払っている。
しかし、和一色になりすぎないよう、天井を剥き出しのコンクリートにしたのもこだわりのひとつ。
元来、日本家屋は石を使用することが多いので、コンクリートととの組み合わせも違和感はありません。
石と違い新しさとクールさがプラスされ、古いものの美しさが、より際立ってくると思います。(伊藤さん)
リビングの壁の黒板、濃茶色の床板、古い木の家具など、まるで昭和期の木造校舎のよう。マンションでありながら、素朴な和の風情にモダンな息吹を取り入れた、心落ち着く住空間を実現している。
専門家プロフィール
エイトデザイン株式会社
名古屋で住宅や店舗のリノベーションを手掛けるデザイン事務所。
物件探し、設計、施工までトータルにサポートするほか、オリジナル家具やDIYパーツ、生活雑貨を扱うライフスタイルショップ「エイトタウン」も展開。
エイトデザイン株式会社
- 住所
- 愛知県名古屋市昭和区鶴舞2・16・28
- TEL
- 052・613・8548
- FAX
- 052・613・8549
- info@eightdesign.jp
- URL
- eightdesign.jp
〈物件名〉下町美術室〈所在地〉愛知県名古屋市〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上13 階建て(9 階部分)〈主要構造〉鉄骨鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1991年〈専有面積〉84.28 ㎡〈バルコニー面積〉23.94㎡〈設計・施工〉エイトデザイン株式会社〈設計期間〉1.5 ヶ月〈工事期間〉1.5 ヶ月〈竣工〉2013 年〈総工費〉1,225万円(設計料含む)
※この記事はLiVES Vol.76に掲載されたものを転載しています。
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