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2015年12月 9日

昭和の意匠×コンクリート。 中古マンションを日本家屋化

下町美術館

三和土の玄関や古家具、古建具などの昔ながらのしつらえに、剥き出しのコンクリート。懐かしくて新しい和の住まいを都心マンションで実現。

text_ Naoko Takahashi photograph_ Takuya Furusue

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コンクリート剥き出しの天井に合わせてキッチンをモルタルで囲み、統一感を出した。照明はエジソン電球を多数取り付け、素朴であたたかみのある雰囲気に。

下町美術室(愛知県名古屋市)

設計・施工
エイトデザイン
住人データ

悠吉さん( 28歳)会社員
祥子さん(29歳)イラストレーター

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LDK に設けた黒板ウォール。イラストは祥子さん作。

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洗面室からキッチンを見る。こげ茶色の格子の引き戸をインテリアのポイントとして至るところに使用。何気ない暮らしの風景をノスタルジックに切り取る。

陽当たりのいい縁側、板張りの床…。落ち着いた佇まいの古い日本家屋が大好きという櫻井さんご夫妻は、家を持つなら古民家風と決めていた。
そのため、平屋の一戸建てか、中古マンションのリノベーションかを考えていたという。

駅に近く、周囲にカフェなどのお店も多くて、日々の生活を楽しめそうな都心近くの中古マンションを見つけました。
東西南北の4面に窓があり、マンションでありながら平屋の日本家屋のような間取りが可能だったことも決め手になって、このマンションをリノベーションすることにしました。(悠吉さん)

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寝室のアール状の壁に、古着屋のようなイメージで服を掛けて収納。

設計を手掛けたのはエイトデザイン。
雑誌やインターネットなどから気に入ったデザインの写真を集めて資料をつくり、自分たちが思い描くイメージを伝えた。

お二人は、古民家や古民家カフェのようなイメージを希望していたので、幼かった頃を思い出すような懐かしさのある空間づくりを目指しました。(エイトデザイン・伊藤太一さん)

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小物はカラフルな色を使いアクセントに。

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食卓の椅子も古いものを購入。

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祥子さんのアトリエ。他の空間とイメージを変え、床は市松貼りに。ドアは古建具。

ドアを開けると、昔の日本家屋の土間を連想させる洗い出し風の玄関が現れる。その横には祥子さんのアトリエ。アトリエの床はラーチ合板を市松貼りにして、学校の古い美術室のような雰囲気を狙った。

ベッドルームとLDKはカーブした壁で間仕切り、並べて配置。また、

どうしても縁側が欲しかったんです。(祥子さん)

というリクエストに応え、リビングのバルコニーに面した掃き出し窓の手前に古建具を付けて、縁側を模したスペースを確保した。

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縁側は洗濯物干し場としても活用。

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板の風呂ふたで和の要素をプラス。

窓の木製サッシやドアはすべて櫻井さんご夫妻がネットで探した昭和期の古建具で、現代的なマンションのイメージを取り払っている。
しかし、和一色になりすぎないよう、天井を剥き出しのコンクリートにしたのもこだわりのひとつ。

元来、日本家屋は石を使用することが多いので、コンクリートととの組み合わせも違和感はありません。
石と違い新しさとクールさがプラスされ、古いものの美しさが、より際立ってくると思います。(伊藤さん)

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キッチン周りには、カウンターとしても使えるテーブルを設置。ふだんはリビングで座卓を囲み、床座でくつろぐ生活が中心。リビングの奥が寝室になっている。

リビングの壁の黒板、濃茶色の床板、古い木の家具など、まるで昭和期の木造校舎のよう。マンションでありながら、素朴な和の風情にモダンな息吹を取り入れた、心落ち着く住空間を実現している。

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キッチンの壁は杉板。色使いが鮮やかなマリメッコの布をカーテン代わりに使用。

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玄関からアクセスできる洗面室。洗面台には、懐かしい味わいのモザイクタイル。鏡もシンプルにして昔の家の雰囲気を出した。

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作品制作に集中できるようアトリエに水場を設置。

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レトロな真鍮のスイッチ。

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三和土(たたき)は小石を樹脂で固めて施工。

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BEFORE

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AFTER


〈物件名〉下町美術室〈所在地〉愛知県名古屋市〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上13 階建て(9 階部分)〈主要構造〉鉄骨鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1991年〈専有面積〉84.28 ㎡〈バルコニー面積〉23.94㎡〈設計・施工〉エイトデザイン株式会社〈設計期間〉1.5 ヶ月〈工事期間〉1.5 ヶ月〈竣工〉2013 年〈総工費〉1,225万円(設計料含む)


※この記事はLiVES Vol.76に掲載されたものを転載しています。
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