グラフィックデザインや版画、籐細工等多岐に渡る創作活動を行っている家族と2匹の猫のための住宅兼ギャラリー。
設計から施工まで4年以上の月日を費やした。
間口の狭い南北に細長い矩形の敷地では、クライアントの望む室面積を成立させるため3層構成が必須であり、外に開かれたギャラリー(パブリック)を1階に、住宅空間(セミパブリック〜プライベート)を2〜3階に設け、それぞれのアプローチを、2面接道を生かし分けてとることから設計をスタートした。
多層構成の建築を設計する際、ポイントとなるのは階段である。本計画の場合、各層の面積が限られており階段の占める面積がかなり大きくなる。そのため、この階段をいかにしてドラマチックにするかが一つのテーマとなった。通常階段とは上下に移動するための通路的空間であるが、3層をつなぐ動線の場だけでなく、それ自体にもワークスペースの場、リビングダイニングの延長、家具としての機能をもたせることで、人が集う場所や創作活動の場所である2階のワンルーム的空間に緩やかな境界やつながりをもたらすことを期待している。また、通路を含む階段自体の動線を長くすることは、不思議な距離感を与え、のびやかな空間の奥行きを感じさせることにも一役買うだろう。
素材に関しては、内部を暖かみのある木=合板をテーマとして設計している。ある程度の素材感はあるが、天井や壁、床としては主張せず、様々な生活や創作作品を活かす面として、器として色々なシーンの背景となるはずである。
写真撮影:Seiji ISHIGAKI
資料請求にあたっての注意事項