鎌倉市が所有する山林のふもと、
敷地の南と西は雑木林がスリバチ状に取り囲んでいます。
道路側に建物を寄せて配置すると、南側に「里山のよそおい」と一体化した
誰からも邪魔されないプライベート・ガーデンが出来上がります。
誰もが自然に「素敵!」と思い描く配置計画を
そのまま素直に採用することにしました。
せっかくの里山ですから、
気軽に出ていけるように「里山と道路と室内」を自由に行き来できる「通り土間」を設けて、
「靴の履き替えも出来る通路状の玄関」にしています。
『土足OKのエリアが家の中を横断している』
可笑しなことのようですが、これが便利です。
雨で濡れたコートや傘を拭いたり、
日曜大工の加工場になったり、読書の場所になったり、
戴き物のみかん箱やスイカを冷やすタライを置いたり、
色々な使い道が日々生まれていきます。
用途が決まっていない
『屋外と屋内の中間のような曖昧な場所』は、
暮らしにゆとりを生み出す余白となっています。
また、この家には部屋を区切ってしまう
「間仕切り壁」や「境界」がありません。
土間・玄関・階段・LDKも連続していれば、
大きな吹抜けが1・2階を繋げています。
子供部屋は最小限で、
勉強机を置いたファミリールームとは
カーテンのみで仕切られています。
その勉強机も長さが8mあり、
家族5人が並んで使います。
家族が時間と空間を共有し合いながら、
大らかに暮らせる家となっています。
2階に長さ8mの机を造作しています。
子供部屋として個室化出来るエリアもあるのですが(現在はカーテンで仕切る)、一緒に過ごす時間を長く出来る様にリビングとは別にファミリールームにしています。
南側に里山があり緑に囲まれているのは良い点なのですが、反面として冬の日照が十分に得られない懸念がありました。コンピューターで太陽の軌跡をシミュレーションして吹抜けと窓の位置を決定しました。
家を建てる前は、南に山がある良さの反面、日照条件はあまり良くない敷地だと感じていましたが、大きな吹抜けと窓があることで真冬でも明るく暮せています。
3人の子供達が2階の長机を嬉しそうに使っています。
勉強しているかは別の問題ですが、
それでも他の同級生の家にはない特別なモノとして認識しているようです。