風景と光景を作る
東野田の地名から考察すればこの辺りが古くから農耕地帯であったことは容易にわかる。
日本人の原点は農耕であり、田畑を中心とした場所に自然発生的に集落が出来上がっていったのだろう。
その豊かな田や畑は人の目線で見たとき、どこまでも続く同じ風景のように見える。
しかし視線を変えて上空から見渡すと、田畑一枚が微妙に異なる美しい風景が現れる。
それは自然と共存する人間の営みと、豊穣を願いたゆまぬ努力を継続する人間の土に対する愛情に満ちた風景のように思えてくる。
無秩序化したこの街の都市形成の在り方に警鐘を鳴らす意味でも、またこの地の過去の成り立ちを考えれば、この建物を「自然と共生する現代的集落」と置き換えデザインすることが出来るのではないだろうか。