長野市の中心部から少し外れた郊外に計画された、夫婦と子供2人が暮らす郊外型住宅である。
敷地は南側と西側に接道する角地。南側には2mを越える擁壁の上に隣家が建ち、西側は田畑が広がっている。
また、小学校に近い立地であることから、前面道路には通学する児童の笑い声が響く。50坪の典型的な郊外型の敷地に対して南からの日射取得への懸念とプライバシー確保の両面を、生活の拠点である居間を半層持ち上げる操作を加えることで解決することを試みた。
1階に水回りとファミリークローゼットなどの収納をまとめ、半層上に居間とキッチンを、もう半層上に子供の部屋と寝室を配置したスキップフロアとし、廊下スペースを省略したコンパクトなプランとなっている。
2階は間仕切壁をなるべく設けず、大きな屋根が全体をやわらかく包む空間構成とした。ワンルームのような空間の中で視線の抜けや空間の奥行を家具と開口部により生み出している。子供たちの声は居間まで届き、スタディスペースには夕飯の美味しい匂いが漂ってくる。階層でゆるやかに分けられた空間が、家族にとって心地よい距離感をつくりだしている。
郊外の住宅地では南面接道した敷地において、塀やカーテンで閉じた印象が多い。居間を半層上げプライバシーを確保することで、街に対して閉じるのではなく、おおらかに開いた関係性を作り出した。また、居間のレベルでデッキを持ち出し外階段が設けられていることから、居間から庭へもアクセスでき、遊び盛りの子供たちが外の環境で楽しめる。
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