北陸に建つ3世代の住宅です。豊かな自然に囲まれた立地ですが、その自然が強烈であるがゆえに、生活を営む上ではむしろ厳しい環境にあります。そこで住宅の基本要素であるシェルターとして、性能上は閉じる方向を目指しました。一方でそれまでの大らかな暮らし方が新しい家においても営まれることを念頭においての計画となりました。
特に、大きな家にありがちな「個室に入ると家全体の様子がわからない」ということの無いように、家族の喜怒哀楽が家中に伝わるように、個室と公室の関係を考えていきました。
具体的には、600kg/m2という積雪荷重、気密性能、耐久性の観点からRC造を選びましたが、それだけではRC壁構造の閉じた空間になってしまいます。そこで、大らかな、開いた空間とするための手法を取り入れるようにしています。外観上はコンクリート住宅特有のパラペット立ち上がりを極力抑え、防犯機能を持たせた格子を適宜配しています。内部においては、視線をダイレクトに遮ったり通したりしない、光をダイレクトに取り込んだりしない、音を遮断しようとしない、といった「直接的ではない」つくり方で、大らかで柔らかく開いた空間としました。
そして、吹抜けのあるリビングを上下階の中心に持っていき、個室がその吹抜けに隣接するように配置しました。そうすることで、個室にいてもリビングの様子が音で伝わってきます。その逆に、リビングから子供たちの様子・・・勉強しているのか遊んでいるのかといった気配を感じ取ることができるようにしました。
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