徳島市郊外にあるこの住宅は、実家の敷地に計画された夫婦+子供(0歳)1人のための建築である。周辺は南側の隣家が迫り北側に母屋、北東に納屋、北西には農業用倉庫が建ち囲まれた敷地でもあった。
同一敷地内に計画するため、敷地内建築物の存在と同時に親子四代の生活環境(世代・仕事・時間)を考慮しながら設計を進めた。
周辺の風景にも頼れず母屋とのプライバシー(母家)を繋ぐ程々な距離感の提供、
クライアントのリクエストを具現化するため『新』と『古』そして、『絆』を採り入れた計画とした。
接道間口の狭い敷地は一方向からの進入となり、母屋が閉鎖的となるため平屋建てとし、敷地の主である母屋に対して採光、視覚的に配慮すると共に、割り石を敷き詰めた前庭が、新居の居場所(結界)を創り出す。
敷地内の竹林をモチーフとしたガラススリットが、白いBOXの隙間に挟まれ程よいアクセントとなり、母屋と新居を繋ぐファサードとなる。
外壁と同材ドアの玄関ドアを開けエントランスに足を踏み入れるとスリットから射し込む光が玄関ホールを柔らかく包み込んでいる。引き戸を開けると、タイル張りの
オープンスペース(L・D・K)に中庭(ボイド)から落ちてくる自然光とガラススリットが迎えてくれ、ローカを進むとプライベート空間へとつながり、寝室専用外部空間へと辿り着く。
子供の寝室は計画せず、必要となる時は、母屋の余っている部屋を利用し、それまでの時間は、親子の濃密な時間(とき)を楽しむ。
時がたてば子どもが敷地内の建物を動き廻りながら、自分の居場所を創り出し、
各世帯の『絆』と成る事を願い子どもの成長を皆で構い合う、敷地内同居のカタチを提案した。
資料請求にあたっての注意事項