ここは鹿児島県『桜島』
現場通いには、毎回フェリーのお世話になった。
計画地は、北側眼下には鹿児島湾が約180°のパノラマで広がる。対岸の山頂には真っ白な風力発電所の風車が見え、西寄りには鹿児島市内が一望することができる。敷地の南側には、桜島のシンボル御岳(標高1117m)の緑豊かな森が広がり荒々しくも力強い自然を身近に感じられる場所にこの住宅は計画された。
近年、毎年起きる火山活動(火山灰・地震)や台風(特に風圧力)、塩害(潮風)、など厳しい気象条件をクリアーすると同時に、施主のリクエストである
?眺望を活かしたい?日当たり・風通し良くしたい?家族と楽しみたい?メンテナンス性の良い家…などの要求に応えるため平面構成を明確にしたシンプルなコア型とした。南北の開放面積を広く取ることができ、眺望・日当たり・風通しに応え、ダイニング横のワークスペースは子ども達の居場所にも成り家族が同一フロアーに集う。
浴室・洗面・トイレをコア内に配置することで、8の字ラインの回遊性を生みだし各居室へのアプローチに変化を持たせ、空間に連続性を与えながら、家族生活にリズムを創りだす。
浴室に一部ボイドを設け光と色の創りだす幻想的な色彩の提案や、
火山に対する精神的な安心度を高めるため、コア内フロアーレベルを下げ地階的(シエルター)を感じると共に、直上階の子ども室のフロアーレベルも下がり建物の最高高さを抑え、風対策に対応する。
屋根に積もる火山灰を洗い流すため平屋建て(一部2階有り)の暖勾配としてメンテナンス性能を高めトイは無い。
又、トイレの壁全面をステンレスで囲い桜島の自然と対峙する人々の力(人工力)の存在感を感じる演出も試みた。
断面計画では、基準フロアーレベルをGLから900mm高くし火山灰の跳ね上げと、眺望の取り込みの仕掛けとなり浮遊感のあるファサードが御岳(桜島)とコラボし一枚の風景になることを願った。
この、固有な環境の中で自然と共生する家族(人)家族の住まいを計画できたことを心から嬉しく思う。
PS.桜島(御岳)に痩せた【きん肉マン】が居ることを発見できた…。
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