敷地は都内の住宅密集地に位置し、幅員4mの2項道路に面した敷地面積24坪の狭小地である。
狭小地にとって、敷地境界から外壁までの距離は敷地の有効利用に大きな影響を及ぼす。
中途半端な距離は妙な隙間をつくり、十分な距離を取れば、外部空間に有効であるが、内部空間として有効化しにくい。
狭小地における、外壁と敷地境界との関係に着目し、住環境としての敷地を最大限有効化する事を目的とした。
周囲と視線の合う1〜2Fは外壁をセットバックしても、相当な距離を確保しないと良好な住環境にならないため、外壁を敷地境界ぎりぎりに設けた。一方、視界が開ける3F、塔屋は外壁と敷地境界の距離を取ることで、有効な外部空間として利用出来るため、斜線制限と相まってセットバックさせた。
1〜2F外壁は開口のある外壁とし、半内部空間を挟んだ内部を包み込むことで、周囲から入ってくる視線と採光を調整しつつ、内部が半内部空間を通して、外部へと拡大していくよう目論んだ。
1Fは音楽鑑賞が趣味のクライアントのための防音室、駐車場、納戸、そして、カーテンで仕切ると客間が出来る広々とした玄関ホールを配置した。
リビングは水回りと共に2Fに配置し、2Fが生活の中心になっている。最大限に面積と広がりを確保するため、木の斜め柱をトラス状に組むことで、木造でありながら、壁の無い3方ガラス張りの空間を実現している。
3Fは寝室となり、セットバックした部分は広々としたテラスとなった。
塔屋はさらにヴォリュームが小さくなり、セットバックした部分は同様にテラスとなっている。
外壁で包まれた半内部空間は1Fでは門扉から玄関までのアプローチ、車の乗り降りスペースとなり、室内ではプライバシーを確保しながら光と風を取り込む。また、2Fの半内部空間ではグレーチングが敷かれ、リビングと連続する庭となり、視覚的にリビングを敷地いっぱいに広げている。
3F、塔屋のセットバックした外壁は視界の開けた、テラスをもたらし、狭小地に、敷地を余す事なく有効化した住宅が出来上がった。
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