敷地は都心の商業地に位置し、敷地面積53㎡、間口3.8m、奥行き13mの細長い狭小地である。
クライアントの母親が一人で住む住宅で、小さいながらも快適で安全な空間が求められた。
周辺は店舗、集合住宅、戸建て住宅が混在しているため、周囲に積極的に開く環境ではない。
このような敷地において構造の成立と快適な住環境の確保をいかに両立するかが課題となった。
建物はRC造の4階建てで構成され、柱梁の厚みを最小限とした扁平ラーメン構造を採用している。
周辺からの採光を確保するため、外壁にある扁平柱の間にはスリット窓を配置し、上階ほど荷重が
少なく柱幅が小さくなることから、その開口幅を170mmから600mmまで段々と広げていっている。
これは上部に行くに従って視界が広がる周辺環境と比例し、建物内部に快適な採光環境とプライバシーを確保すると共に、商業地でのセキュリティの確保に対しても合理的な構成となっている。
内部は1階に駐車場、2階にゲストルームと水廻り、3階にLDK、4階に主寝室で構成され、各階はエレベーターにより繋がっている。
外周部の壁はライムストーンの吹付で統一されているが、内壁は階ごとに木の種類や色合いを変え、
開口部の変化と共に特色のある空間を作り出している。また、3階LDKの前面道路側にはトップライトを配置し、コンパクトでありながら開放的な空間となっている。
窓と柱の合理的な構成によって各階8坪の小さな住宅が実現した。
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