山口市内に建てたケアハウス、グループホーム、デイサービスステーションの複合建築物です。私自身の以降の高齢者施設設計の原点となるアイデアが詰まっています。9名がそれぞれの個室を持ち、リビング・キッチン・浴室を共用する形式をケアユニットと言いますが、この施設ではケアハウスが6ユニット、グループホームは2ユニットあり、高齢者施設とは言っても、大家族の集合住宅と言うこともできます。ここでは、2つの中庭に「水」と「緑」をテーマとして与え、外に出歩くことが難しい高齢者に対して、居ながらにして自然の恩恵が受けられるうようにしています。
中央の水の中庭は3層吹き抜けは、中央で食堂と水の中庭をサッシで仕切ることで、外部と内部がシンクロし、同時に上層階の気配が伝わる空間を作り出しています。高齢者にとって個室の外は「都市」であり、一歩廊下に出れば刺激に満ちた活力を感じるよう配慮されています。
中庭と個室の関係や小テラスと居室の関係、きめ細かな収納計画など、住宅に必要なヒューマンスケールのアイデアの積み重ねが、大きな全体の完成度を高めることに成功しました。
アプル総合計画事務所の管理建築士時代に東大の大野秀俊教授のご指導の下設計いたしました。
構造設計:TIS&PARTNERS
設備設計:総合設備計画
施工:松尾建設株式会社
撮影:北嶋俊治
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