鎌倉大仏で知られる鎌倉の長谷は古くは別荘地で、鎌倉文学館(旧前田利為別荘)、鎌倉市長谷こども会館(旧福島浪蔵邸)など近代建築が残る景観地区となっている。南の海から程よい距離を置き、北に照葉樹林の山を控えた由比ガ浜通りに面した敷地にある。敷地の道路側の北半分を鎚起銅器の店舗、そして南半分にコンパクトな住居を併設した2階建ての建築。ファサードは単純な直方体に開口部にステンレスプレートと木で枠取りをして額縁効果を狙った。店の背景となる階段と2層分を貫くこげ茶の列柱が1、2階の店舗に一体感をもたせる。インテリアは扱う商品に合わせて住宅の部屋のスケールで、食堂、居間、書斎風にあしらった。住居は南庭に面した主室、3畳の和室の小上がり、オープンキッチンと連動する多目的スペース、2つの寝室、花火が見えるバルコニーを2層にまとめている。正面に植えた黒松と紅葉も通りに潤いを与え続け、長谷の景観の一部となる。
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