設計依頼を頂く数年前、たまたまこの住宅地を訪れることがあり、手入れのされたゆったりとした庭と歴史を感じさせる趣のある佇まいが印象的でした。ところが、近年はそうした良好な環境の維持も難しくなってきているようで、急激に無味乾燥な街並みへと変容しつつあることが見受けられました。そうした中、この住宅では少しでも街並みにも潤いをもたらす計画ができればと考えました。
法定面積の上限いっぱいの計画ではあるものの、建物を一つの塊ではなく、小さなボリュームの集合体としてできるだけ量感を抑え、建物周囲にたくさんの余白(=庭)を生み出し、緑に包まれる住宅を目指しました。外壁は、緑の背景としてしっとりとした表情となるよう濡れ色がかった暗灰色の左官仕上としています。 宅盤が道路よりも1m程高いため、1階は70cm程の半地下形式としホームEVを設置することで全体をバリアフリーの計画としています。
半地下形式の1階は”庭との親和”、主階となる2階は”緑に包まれ浮遊する住処”、眺望の良い3階は"望楼"として、各階ごとに特性に応じたテーマを持たせています。2階は回遊性を持たせたプランとすることで、普段は2階だけでも快適に生活できる計画としています。
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