日用雑貨を扱う企業のバイヤー向けショールーム。
所要室として、商品展示室、2つの商談室、企画デザインオフィスなどが求められました。
クライアントからは、自社の全商品を展示・案内できる場所であるとともに、企業イメージの醸成・発信に繋がる建築・空間が期待されました。
同時に、2500点以上にも及ぶ商品展示に対し、約半数ずつを占めるプライベートブランド商品(PB)とナショナルブランド商品(NB)を同居させるか別居させるかで社内でも意見が分かれており、そうした課題解決も建築の提案でお応えすることを目指しました。
私たちのアプローチは、ここでの一連の行為を情緒的に捉え直すところから始め、ショールーム(=企画デザイン→展示→商談の場)を”雑貨の家(=雑貨が生まれ、育まれ、巣立つ場所)”と見立てることによって計画を練りました。
具体的には、外形は周辺の山並みや民家、そして日用雑貨とも呼応するシンプルな家型としつつ、内部においては雑木林ならぬ”雑貨林”を形成する、3つの家型が連結した繊細な林立フレームが支える一室空間を試みています。
この林立フレームは、建物を支える”構造”でありながら、一室空間の中に3つのゾーンを生み出す”機能”にもなっています。それにより、PBとNBの各ゾーンを設けつつ、その間に販促PRゾーンとなる緩衝帯が挟まることでPBとNBが程よい距離感で同居できる状態を作り出しています。同時に、全商品展示はもちろん、新商品などその時々での効果的な販促もしやすい環境を生み出しています。
雑貨林の下、様々なアイディアが芽吹き(企画・デザイン)、果実としての商品が実り(展示)、そして収穫される(商談)。そうした一連の行為は、相互に働き掛け、活性化され、そして好循環を生み出します。
”雑貨の家”は、建築であると同時に一つの”物語”でもあります。
ここでは、訪れる方々は皆この物語を紡いでいく登場人物となります。 建築に添えられた詩情性が、場所と人と建築を結びつけ、土地に根ざす企業活動の促進に繋がればと考えました。
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