国分市街地からそれほど遠くない場所に自然のような地形が残る稀有な土地。
恵まれた敷地を活かし、伸びやかで奥行きのある空間にすることを考えました。
この家の一つのテーマに”ずれ”があります。
竹原義二さんの『無有』で紹介されていた「後楽園流店」のズレと間合いによる操作が頭に残っていて、この建物でも重層的なズレによって実際以上の奥行きが生み出せないだろうかと考えながら計画しました。
具体的には、平面的な角度のずれ、いくつかのレベル差によるずれ、構造体としての軸組と実際意識される柱状の要素とのずれ、又はそれらのズレが重なることによる重層的なずれ、のようなことを意識しています。
非構造材である外周の雨樋はそのズレを生むためにあえて軸組のグリッドからずれた位置に構造体と見えるように配置しています。それによって在来軸組工法のグリッドを感じさせない伸びやかな空間となっています。
また、モダニズム的なセオリーであれば構成を明快にするために可能な限り余計な線を消していくのだと思いますが、今回はズレを明快な構成の中にはっきり位置づけると言うよりは、重層的な構成の中に紛れ込ませるようにしたかったので、納まりを考える際に”線を消す”というミッションをある程度弱めるように意識しました。
あまり余計な線が増えると単に乱雑な空間になってしまうし、あまりにシンプルになると重層感がでなくなってしまうのでその辺のバランスは特に意識しました。
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