「前面道路の桜並木を望む家」というリクエストをいただきました。眺望のみならず、この北側道路は高度斜線の高さ制限の緩和にも一役買い、第一種低層住居専用地域でも何とか3階建てを可能にします。また、南側、東側は隣戸が迫り、西側も今はコインパーキングですが将来は建物が建つかもしれず、北側以外はプライバシーを確保する中で、如何にして明るく開放的な住まいを立体的に組み立てるか、というスキームでした。
まずは階の構成として、1階はガレージと在来工法のご指定のある浴室(十和田石で床、壁、浴槽まで制作しています、これに関するブログ>も参照してください)など、2階はオープンでワンルームのLDK、3階は方位がやや触れているため高度斜線の影響を受け、他階の床面積の半分ほどの寝室などとなります。プライバシーの観点から建築で囲われた庭に対して開く関係のコートハウスをイメージしましたが、建築のボリュームとしてはかなり縦長になることもあり、中庭を南に置きその周囲は、約2層分の高い塀を設置することにしました。2階、3階の北側は桜を望む大きな窓、高度斜線で削られる部分は急勾配の屋根、勾配なりの吹抜け木天井(チーク材の凹凸張り、この木天井についてのブログ>も是非)として、2階のLDKのいずれの場所からも愛でることができる計画です。
完成し、現在設計中のお施主様、何人かに見学いただいた際など、「外から見ると、北側以外ほとんど窓が無い家?と思ったけど、中に入ると驚くほど明るい」 という感想をいただきました。中庭周囲の壁や塀の色(ジョリパット、割肌)を建物外周の色よりも少し明度を上げて、反射の効果を高めている裏技?なども活きているかもしれません。