イノテックス・ジャパン・ギャラリーは、まちなかエリアと足利公園及び草雲美術館を結ぶ観光
ルート上の、観光戦略的に極めて重要な位置に建設されました。街灯や歩道の舗装、電線の地
下埋設などの整備が施された周辺の景観に馴染み、同時に景観の向上に資することを目指して、
まちなかに散見される土蔵のような均整がとれた落ち着いた建築の姿を現しています。また、伝
統的な木造建築とは異なる建築の表現は、地域に木造建築の革新性と多様性をもたらす契機と
なるべく考案されたものです。県道を挟んで向かい合う公園の緑と呼応して、敷地の角部にはヒ
メシャラと庭石を配し、緑あふれる市街地空間の形成に供するものとします。
当ギャラリーは、足利を中心とする地域の繊維産業と地域由来の美術品を展示し、地域の産業
と文化の発展を促進することを目的に運営されています。建築はその目的を最大限に実現できる
ように計画されました。3間四方の大きな吹き抜け空間であるメインギャラリーは、室内に柱
や梁が現れないため、多様な展示方法を可能にし様々な企画展示に対応することができます。ま
た、構造躯体である集成材の柱は、展示棚の一部を構成することで、建築と展示物の一体性を強
める効果を持っています。建築と展示物が一体となることで、展示物の魅力を引き出し、より濃
密な鑑賞の時間を演出します。前面する県道側には大きなショーウィンドウを設けることで賑わ
いを演出し、道を行き交う人々は内部で行われている活動の様子を垣間見ることができます。産
業と芸術が織りなす文化的な活動空間を市街地空間とつなげる、いわば「文化の窓」としての
ショーウィンドウの提案です。
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